研究課題/領域番号 |
22K14939
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小玉 将史 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (30883269)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アマモ / 藻場 / 葉上動物 / 魚類群集 / 生物群集 / 生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
アマモ場生態系は、高い生物生産性を有し、多くの重要な生態系機能を有する。近年、地球温暖化等の影響を受けて、南限域のアマモ場が衰退し、分布の南限が徐々に北上している。アマモは基本的に多年生の海草であるが、分布南限域では一年生となる場合も多い。多年生アマモ群落と一年生アマモ群落では、生物生産構造が異なる可能性が高いが、一年生群落に関する知見は乏しい。衰退しつつある南限域のアマモ場生態系を理解し、今後適切に管理・利用していくためには、一年生群落の知見が不可欠である。そこで本研究では、南限域の多年生群落と一年生群落で、生物群集構造やその季節変動様式、その食物網構造を明らかにし、その違いを比較検討する。
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研究実績の概要 |
アマモ場は生物生産性の高い生態系を形成し、有用水産資源を含む多くの生物の生育場となる。近年、地球温暖化等の影響を受けて、南限域のアマモ場が衰退し、分布南限が徐々に北上している。アマモは基本的に多年生群落を形成するが、分布南限域ではしばしば一年生群落を形成することが知られる。これまでアマモ場の研究は主に多年生群落において展開されてきたが、分布が北上しつつあるアマモ場の生態系機能を正しく理解するうえでは、多年生群落だけでなく一年生アマモ群落の知見も不可欠である。 2023年度には、2022年度から引き続き、鹿児島県内の一年生アマモ群落において、草体の季節消長ならびに生物群集構造の季節変化についての調査を実施した。一年生アマモ群落においては、十分な試料収集を行うことができたことから、近日中に研究成果を投稿論文として取りまとめることを予定している。 一年生群落との比較のために、2021年度まで存在が確認されていた鹿児島県内の多年生アマモ群落においても調査を実施した。本調査地のアマモ場は、2022年秋季の調査では、砂泥底内の地下茎を残して、地上部が完全に枯死消失していることが確認されていた。しかし、今年度の調査では、冬季および春季に再びアマモの繁茂が確認された。地下茎が周年残存しているか否かについては、今後更なる検討が必要であるが、少なくとも地上部については、夏季に枯死するような一年生群落と同様の季節消長様式に変化した可能性が高い。多年生群落が一年生化する過程を捉えられる可能性があることから、次年度も引き続き季節消長と動物群集動態に関するデータを収集する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年生アマモ群落においては、概ね計画通り試料とデータを蓄積することができた。十分なデータを得ることができたので、次年度にはデータを取りまとめて公表することを計画している。 多年生アマモ群落においては、当初の研究計画からは想定外に、群落の季節消長様式が変化している可能性の高い状況となった。そのため、一年生-多年生群落間での比較は困難となったが、他方、分布南限の北上に伴う多年生群落の一年生化の過程、あるいは消失過程を捉えることができる可能が高く、今後のアマモ場の変遷に期待される。 当初の研究計画からは一部を再検討する必要が生じているが、本研究目的を達成する上では、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
一年生アマモ群落においては、概ね計画通り試料とデータを蓄積することができた。十分なデータを得ることができたので、次年度にはデータを取りまとめて公表することを計画している。 季節消長様式が変化しつつあることが想定される多年生群落においては、次年度も継続してデータを蓄積し、多年生群落の一年生化の過程、あるいは消失過程を捉えることを目指す。
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