研究課題/領域番号 |
22K14967
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
折立 文子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (90535303)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 混合メタン発酵 / 農業集落排水汚泥 / 生ごみ / 乳酸発酵 / 乳酸菌 / 集排汚泥 / 貯留 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、農村地域の生ごみと農業集落排水汚泥(以下、集排汚泥)を原料とする混合メタン発酵において、生ごみ由来乳酸菌の乳酸発酵を利用した原料混合槽の管理によるバイオガス発生量減少の抑制手法を開発することを目指す。具体的には、原料混合槽における、集排汚泥と生ごみの共存下での、乳酸発酵との競合反応が生じ得る状態での貯留において、原料混合比率、温度、滞留時間等の条件が生ごみ由来乳酸菌の乳酸発酵による原料腐敗抑制効果に及ぼす影響を室内試験により定量的に把握・整理し、混合メタン発酵の管理に活かす。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、集排汚泥と生ごみを混合貯留した際の乳酸発酵阻害とそれに伴う腐敗抑制効果の低減可能性の有無について検証することを目的として、昨年度とは異なる7施設(処理方式別に、回分式活性汚泥方式3施設、膜分離活性汚泥方式1施設、オキシデーションディッチ方式1施設、長時間ばっ気方式2施設)から採取した汚泥を対象に、成分分析と乳酸菌数測定、微生物群集構造の解析(アンプリコンシーケンス解析)を行った。 分析の結果、各集排汚泥の乳酸菌数は昨年度分析に供した集排汚泥と同程度(100gあたり10の4乗~10の6乗のオーダー)で、生ごみよりも2~3オーダー低く、グルコースはいずれの集排汚泥でも不検出であった。また、ナトリウム濃度は昨年度分析した汚泥同様、いずれの集排汚泥でも発酵阻害が懸念される濃度よりも十分低い値(15~38mg/L)であった。微生物群集構造については、各集排汚泥間で主要な微生物種の違いがみられたが、処理方式の違いによる明確な傾向は把握できなかった。ただし、いずれの集排汚泥も乳酸発酵との競合反応を引き起こし得るClostridium属等の微生物群の存在割合は小さく(それぞれ、全体に対して1%未満)、少なくとも、昨年度から今年度にかけて分析対象とした処理方式の集排汚泥と生ごみを嫌気性条件で混合貯留した際の乳酸発酵阻害とそれに伴う腐敗抑制効果の低減可能性は低いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
集排汚泥と生ごみを混合貯留した際の乳酸発酵阻害とそれに伴う腐敗抑制効果の低減を生じ得る要素の有無に関して、昨年度とは異なる7施設(処理方式別に、回分式活性汚泥方式3施設、膜分離活性汚泥方式1施設、オキシデーションディッチ方式1施設、長時間ばっ気方式2施設)から採取した汚泥について確認ができた。 また、混合原料貯留中の生ごみ由来乳酸菌による腐敗抑制効果に原料混合比率や温度、滞留時間等が及ぼす影響を把握するための貯留試験および回分式メタン発酵試験のための種汚泥作成や試験条件検討等の準備が進められたが、試験の開始自体が予定よりやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
混合原料貯留中の生ごみ由来乳酸菌による腐敗抑制効果に原料混合比率や温度、滞留時間等が及ぼす影響を把握するための貯留試験および回分式メタン発酵試験を進め、データを得るとともに、今年度までに得られた、異なる処理方式の集排汚泥の成分分析及び微生物群集構造の解析結果および追加調査の結果もふまえ、バイオガス発生量の減少を抑制する乳酸菌を用いた混合メタン発酵原料の貯留方法についてとりまとめを行う。
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