研究課題/領域番号 |
22K14976
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2023) 秋田県立大学 (2022) |
研究代表者 |
倉田 正観 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (40899324)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 半自然草地 / 次世代シークエンサー / リシークエンス / 集団動態推定 / 最終氷期 / 系統地理 / 分布変遷 / MIG-seq / 黒ボク土 / 草地性植物 / ゲノムシークエンス |
研究開始時の研究の概要 |
日本の極相は主に森林であるが、随所に人為的撹乱(火入れ等)により維持される半自然草地が存在する。そこには東アジア大陸部起源の草地性植物が生育し、「日本人が火入れ等により草地環境を維持し、そこに東アジア大陸部起源の草地性植物が遺存してきた」という学説が提唱されている。人類(日本人)は約4万年前に日本列島に到達し、その後集団を拡大させた。したがって、日本人の拡大とともに草地性植物の生育適地である草地環境も拡大したと考えられる。本研究では、大規模ゲノム情報を用いて草地性植物の集団動態(個体数の変動)を推定し、上記学説を検証する。
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研究実績の概要 |
日本の極相は主に森林であるため、草地環境は高山や海岸周辺以外には成立しづらい。しかし、随所に人為的撹乱(火入れ、採草、放牧等)により維持される半自然草地が存在し、草地性植物の生育適地となっている。また、草地性植物の多くは東アジア大陸部(朝鮮半島、中国北東部、極東ロシア)にも分布することから、これらは氷期に陸橋を介し日本列島に渡ってきたと考えられている。以上のことから、「本来森林が成立するはずの環境に日本人が火入れ等を行うことで草地環境が維持され、そこに草地性植物が遺存してきた」という学説が唱えられているが、本学説に関する遺伝学的知見は限られる。本研究は、大規模ゲノム情報を用いて草地性植物の集団動態(過去から現在における個体数の変動)を推定することで上記学説を検証するものである。 本年度はキセワタ(シソ科)及びキキョウ(キキョウ科)の採集と遺伝解析(ゲノム縮約解析及び全ゲノムリシークエンス解析)を実施した。研究協力者のサポートも得つつキセワタについては新たに7地点、キキョウについては20地点から遺伝解析用の個体を採集できた。昨年度までに採集した個体も含めて各種遺伝解析を進めたところ、キセワタについては地域ごとに遺伝的なまとまりが検出されたが、キキョウについては地域間の遺伝的な分化の程度が小さいことが分かった。また、全ゲノムリシークエンスだが、キセワタについてはシークエンス解析まで完了した。キキョウについては予算の都合上、本年度における全ゲノムリシークエンス解析は実施できなかった。 引き続き、草地性種・タチフウロと森林を好む種・イヨフウロの集団遺伝学的解析を進めた。その結果、最終氷期におけるタチフウロの分布は連続的で、分布拡大も急速に起きたと推定された。一方で、イヨフウロの最終氷期における分布は非連続的で、完新世以降の分布域も分断されていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も異動初年度で、教育・運営業務と研究のバランスがとりづらかったため、サンプル採集は進んでいるものの各種解析の遂行が遅れてしまった。十分な成果を出せるよう、引き続き野外調査及び各種解析に注力していく。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き野外調査、各種遺伝解析を進める。キセワタについてはほとんどの集団についてリシークエンス解析が完了しているため、今後はリシークエンスデータに基づく集団動態推定を実施する。キキョウについてはリシークエンス解析を実施し、集団動態推定を実施する。また、両種とも引き続きMIG-seqによる集団遺伝学的解析を実施する。各種解析が完了した後、成果を投稿論文としてまとめる。
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