研究課題/領域番号 |
22K15001
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
長澤 裕哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (20759352)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 牛 / 乳房炎 / ケモカイン / 傷害抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1) 乳房炎乳汁中におけるCCL28の動態と病態との関連、2) 乳腺上皮細胞におけるCCL28の合成と分泌、3) SAおよび大腸菌感染に対するCCL28の防御機能に関する解析を行い、牛の乳房炎に対するケモカインCCL28の発現機序と役割を明らかとする。本研究による成果は、乳房炎の病態に対する学術的基盤を確立し、それに立脚したウシ乳房炎防御法の実用化へ繋がる。
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研究実績の概要 |
本研究では、1) 乳房炎乳汁中におけるCCL28の動態と病態との関連、2) 乳腺上皮細胞におけるCCL28の合成と分泌、3) 黄色ブドウ球菌(SA)および大腸菌感染に対するCCL28の防御機能に関する解析を行い、牛の乳房炎に対するケモカインCCL28の発現機序と役割を明らかとすることを目的として研究を行った。スキムミルク中でCCL28をSAおよび大腸菌に添加した結果、SAおよび大腸菌の生存率が減少した。以上より、CCL28は乳汁中において乳房炎原因菌に対する感染への防御に寄与している可能性がある。次に、臨床サンプルにおけるSA性乳房炎の乳汁中でCCL28が発現しているサンプルが多く確認された。加えて、CCL28が発現している乳汁におけるSA特異的IgA抗体価は発現していない乳汁より有意に高かった。また、CCL28が発現している乳汁におけるSA特異的IgA抗体価は、健康乳汁を基準としたカットオフ値(平均±3倍標準偏差)より高い数値を示すサンプルが確認された。一方で、SA特異的IgG抗体価はCCL28の発現に関係なくSA性乳房炎罹患乳汁中で高かった。以上より、SA性乳房炎の発症による乳汁中CCL28の発現がIgA抗体の増加に関連する可能性がある。以上より、①CCL28は、スキムミルク中でSAおよび大腸菌に対する抗菌活性を示したため、乳汁中でも乳房炎の防御に寄与している可能性がある②SA性乳房炎の発症による乳汁中CCL28の発現がIgA抗体の増加に関連する可能性がある、ことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、CCL28が持つ乳房炎原因菌に対する抗菌作用および臨床現場における臨床型乳房炎サンプル中のCCL28とIgA抗体の発現について解析を行い、当初の予定通り、CCL28が乳汁中でも細菌感染後の乳房炎の症状緩和に寄与している可能性があること、SA性乳房炎の乳汁中CCL28とIgA抗体の発現に相関があることが示されたため、本課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として、乳汁中CCL28の動態と病態との関連を明らかとするため、引き続き牛への乳房内実験感染および臨床現場において臨床型乳房炎の症状を呈した乳房炎の乳汁中CCL28の発現を解析する。
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