研究課題/領域番号 |
22K15014
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
田村 昌大 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (30894836)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Elastography / Shear wave elastography / 右心房圧 / Shear Wave |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、SWEによる肝硬度と心臓カテーテル検査で測定した平均右心房圧の相関性を明らかにすることである。本研究目的を達成させるために、可逆性のCRHFモデル犬を使用した研究を行う。CRHFモデル犬は、膠質輸液製剤の急速投与を行い作出する。頚静脈から心臓カテーテルを挿入し、平均右心房圧を測定する。持続的な輸液投与で平均右心房圧を上昇させ、その各段階での肝硬度を測定し、統計学的に相関性を検討すると共に、肝硬度を用いた平均右心房圧の推定式を算出する。
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研究実績の概要 |
本年度の研究では、Volume overloadのモデル犬を用いて、shear wave elastographyによる肝硬度と心臓カテーテル検査で測定した平均右心房圧の相関性を評価した。まず本研究では、覚醒下、鎮静下、全身麻酔下での肝硬度の影響を評価したが、すべての群で有意差は認められなかった。次に全身麻酔下で、Volume overloadを行い右心房圧が0-5 mmHg(Pre), 6-10 mmHg, 11-15 mmHg, 16-20 mmHg, 21-25 mmHgに到達するまで上昇させると、肝硬度は右心房圧の上昇と共に一次線形的に上昇し、Preとの各群間の一対比較で有意差が認められた。さらに実測右心房圧と肝硬度は、統計学的に非常に強い相関が認められ、右心房圧>10 mmHg, >15 mmHg, >20 mmHgのAUCはそれぞれ0.9896(感度100%、特異度91.7%), 0.9907(感度94.4%、特異度94.4%), 0.9722(感度91.3%、特異度91.3%)と非常に高い予測性能を示した。加えて、Volume overload後の急速な右心房圧低下を目的に利尿剤を投与すると、急激に肝硬度が減少した。利尿剤投与後11-15 mmHgまで減少した時点の肝硬度は、Volume overload中の16-20 mmHgより低下し(P=0.0003)、Volume overload中の11-15 mmHgと同程度まで減少した。今回の研究結果から、肝硬度は右心房圧推定に有用であると共に、治療効果判定にも応用できることが示された。本研究の結果は、日本獣医循環器学会で口頭発表され最優秀学会発表賞(研究報告の部)を受賞すると共に、Journal of Veterinary Internal Medicineに投稿され受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
論文が既に受理された
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究では、実験犬で研究を行い肝硬度測定が右心房の推定に有用であることに加え、治療効果判定にも応用可能であることが示された。次の実験は、慢性の右心不全モデルを作出し慢性期での肝硬度と右心房圧の相関を調査する予定であった。しかし、昨今の情勢により致死的な動物実験の研究実施が困難となってしまった。そのため、上記目的を達成させるために、臨床的に右心不全を呈している動物を対象として研究継続を行う。実臨床の右心不全罹患犬では心臓カテーテルを挿入しての実測右心房圧測定が困難であるため、右心房圧推定に従来使用されている後大静脈の呼吸性変動および肝静脈血流波形を指標とし、肝硬度との診断性能を評価を比較する。この成果は、慢性期での右心房圧推定に対する肝硬度測定の有用性を明らかにすることができると想定される。
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