研究課題/領域番号 |
22K15017
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
町田 雪乃 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (40791132)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | EZH2 / EZH1 / リンパ腫 / ネコ / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
ネコのリンパ腫の治療は多剤併用療法が一般的で、病態が進行すると寛解は不可能であるため、新規治療法の開発が必要とされている。新規治療標的候補として、エピジェネティック酵素のEnhancer of zeste homolog 2 (EZH2)に着目した。EZH2はヒストンH3の27番目のリジン残基をトリメチル化することで標的遺伝子の発現を抑制する。一方、これまでの研究からB細胞性/T細胞性リンパ腫ともにEZH2陽性の症例は、高い細胞増殖活性を有し、EZH2が悪性化に関与していることが示唆された。本研究では、EZH2によって制御される候補遺伝子を見つけ出し、ネコのリンパ腫の悪性化機構を解明する。
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研究実績の概要 |
ネコのリンパ腫の治療は多剤併用療法が一般的であるが、病態が進行すると寛解は不可能なため、新規治療法の開発が必要不可欠である。本研究は、新規治療標的候補としてヒトのリンパ腫の新規治療標的治療薬として開発されているエピジェネティック酵素のEnhancer of zeste homolog 2 (EZH2)に着目した。EZH2はヒストンH3の27番目のリジン残基をトリメチル化(H3K27me3)することで標的遺伝子の発現を抑制することが知られている。申請者の先行研究は、B細胞性/T細胞性リンパ腫ともにEZH2陽性の症例は、高い細胞増殖活性を有し、EZH2が悪性化に関与していることを明らかにした。本研究では発現ベクターを用いた機能解析、臨床症例を用いた変異解析、トランスクリプトーム解析を遂行し、EZH2によって制御される候補遺伝子を同定し、ネコのリンパ腫のEZH2を介した悪性化機構を解明する。また、患者腫瘍組織移植マウスを作製し、EZH2阻害治療の可能性を模索する。本研究成果はネコリンパ腫がエピジェネティックな制御機構を受けるという新しい概念を創出し、エピゲノムを標的とした新たな治療法の基盤構築に貢献できる。 2023年度は、EZH2と協調的に働くEZH1に着目し、ネコのリンパ腫におけるEZH1の発現を検索した。その結果、EZH1陽性リンパ腫は細胞増殖活性が低い傾向がみられた。このことから、EZH1の発現抑制、EZH2の発現亢進によりリンパ腫は高い細胞増殖能を得ると推察される。またネコリンパ腫細胞株を用いたin vitro解析ではEZH1/2阻害剤投与により抗腫瘍効果が濃度依存性に認められた。このことから、EZH1/2阻害剤はネコのリンパ腫の治療に有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究課題の進捗はやや遅れている。ネコのリンパ腫の外科切除材料が想定よりも集まらず、変異解析、トランスクリプトーム解析の遂行が遅れている。またEZH1/2阻害剤を用いたネコのリンパ腫のin vivo解析も実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り遂行予定である。昨年度に引き続き、ネコのリンパ腫の外科切除材料を用いたEZH2の変異解析、トランスクリプトーム解析、EZH1/2阻害剤を用いたin vivo解析を実施する。
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