研究課題/領域番号 |
22K15018
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
吉本 翔 麻布大学, 獣医学部, 学振研究員 (70909168)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | CAR-T細胞 / T細胞の疲弊 / 免疫チェックポイント分子 / PD-1/PD-L1 / がん免疫 / がん / イヌ / 遺伝子改変 / 腫瘍 / 共抑制分子 |
研究開始時の研究の概要 |
がんは、ヒトとイヌの主要な死亡原因である。進行がんに対しても有効な治療法の開発が望まれており、近年がん免疫療法の一つであるキメラ抗原受容体発現T(CAR-T)細胞療法への注目が高まっている。 しかし、CAR-T細胞は一部の血液がん患者において優れた治療効果を示したものの、固形がんを中心に他のがん種で十分な治療効果は未だ確認されていない。 本研究では、他のがん種でも有効なCAR-T細胞療法の開発に向け、CAR-T細胞の治療効果を減弱する要因の一つとして考えられるCAR-T細胞の疲弊のメカニズムの一端を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、CAR-T細胞の治療効果を減弱させる要因であるCAR-T細胞の疲弊という現象を解明するために、イヌCAR-T細胞に繰り返し抗原刺激を与えて疲弊を誘導し、疲弊に至るまでの過程を評価した。実験の結果、イヌCAR-T細胞上に疲弊に関連するマーカーが発現し、CAR-T細胞の増殖能や細胞傷害能も徐々に低下し、最終的に機能不全に陥ることが明らかになった。また、PD-L1発現細胞がイヌCAR-T細胞の機能不全に関連することやPD-1シグナル阻害がPD-L1によるCAR-T細胞の機能抑制を緩和することも明らかとなった。以上より、イヌCAR-T細胞の疲弊という現象の一部を明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、イヌCAR-T細胞の疲弊の誘導に成功し、免疫チェックポイント分子の発現変化や機能不全に陥るまでの過程を明らかにしたことである。また、PD-1シグナル阻害がイヌCAR-T細胞の機能不全や疲弊に与える影響についても明らかにできた。これらは、CAR-T細胞療法の改善策を検討するための重要な知見である。社会的意義としては、CAR-T細胞の疲弊を防ぐ新たな戦略を提示したことで、イヌおよびヒトのがん患者に対するCAR-T細胞の治療効果の向上が期待されることである。特に、難治性がんの治療において、CAR-T細胞療法の適用範囲を拡大し、治療効果を最大化するための手がかりとなる研究である。
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