研究課題/領域番号 |
22K15019
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
林 慶 岡山理科大学, 獣医学部, 講師 (90823196)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 条虫 / 寄生虫 / 成虫 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的はMesocestoides vogaeをモデルとし、条虫の幼虫が終宿主の体内に感染したことを認識し、成虫への分化にシフトするトリガーを特定することである。M. vogae の幼虫が成虫化する運命を決定しているトリガー遺伝子を明らかにするため、本研究では以下の2点を具体的な到達目標として設定し、研究計画を立案した。 <具体的な到達目標> ① 幼虫が成虫化するトリガーとなっている遺伝子群を探索する。 ② 見出した遺伝子の発現を抑制することで、成虫に分化できなくなるか確認する。
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研究実績の概要 |
マウスとラットを用いて継代したMesocestoides vogaeの幼虫テトラチリジウム(以下、幼虫)を用い、高濃度のトリプシンに曝露することで人為的な成虫化を誘導した。トリプシンに曝露して24時間後の幼虫、曝露後に約一週間培養して成虫化した虫体、およびトリプシン非曝露群幼虫からRNAを回収し、遺伝子の発現パターンをRNA-seqで網羅的に解析することで、成虫化の各段階において特異的に発現が変化した候補遺伝子を探索した。得られた候補遺伝子の発現はRealtime RT-PCR法を用いて詳細に解析することで確認を行った。その結果、①転写因子など成虫化シーケンスの初期段階から継続して発現が上昇している遺伝子群、②成虫化が完了した虫体にのみ特異的に発現が上昇する遺伝子群、および③成虫化シーケンスの初期段階でのみ特異的に発現が上昇している遺伝子群を見出した。特に③の遺伝子群は成虫化の初期段階において特異的な役割を持つと予想される。そこで、これらの遺伝子をサブクローニングして組換えタンパクおよび抗体の作製を行った。 また、この遺伝子のmRNAに特異的に結合するRNAプローブを用いたIn situ hybridizationを行った結果、この遺伝子が成虫化の過程において最も形態変化を生じる部位に特異的に発現していることを見出した。さらに、これらの遺伝子を標的とした特異的二本鎖RNAを幼虫に曝露することで、トリプシンに曝露しても標的遺伝子のみ特異的に遺伝子発現量をトリプシン非曝露群と同程度まで抑制した遺伝子発現抑制幼虫を作出することに成功した。現在、遺伝子発現を抑制した幼虫が成虫へ分化できるかといった詳細な表現型の変化を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究計画である①網羅的解析を用いた候補遺伝子の探索、②候補遺伝子の分子学的な解析、③候補遺伝子の遺伝子発現抑制虫体の作出の各段階を遂行することができたため、おおむね予定通りに研究は進展していると言える。今後は、発現を抑制した虫体の表現型の解析を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在分子学的な解析や遺伝子抑制実験に注力している遺伝子以外にも、網羅的解析で得られた候補遺伝子があることから、それらの遺伝子についても同様の解析を進めて行く予定である。また、成虫化を用いたアッセイでは成虫化の効率が鍵となることから、成虫化をより高効率に誘導できる培養条件の検討を行う。
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