研究課題/領域番号 |
22K15035
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山上 龍太 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (70767227)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | tRNA / RNAシュードウリジル化酵素 / tRNA修飾 / 次世代シーケンス / 変異プロファイリング / RNA / RNA修飾酵素 / RNAシーケンス |
研究開始時の研究の概要 |
RNA成熟によるRNAの構造と機能の変化は、転写・翻訳などの遺伝子発現機構を制御することが知られています。その一方で、「どのRNAが、どのような成熟過程を経て、どのように遺伝子発現を制御するか?」の全貌は、未解明です。本研究では、tRNA修飾酵素をRNA成熟酵素のモデルとして、tRNA修飾酵素の新規標的RNAを同定する技術開発、RNA修飾による標的RNAの構造と機能の変化、RNA修飾によるタンパク質合成系の制御の観点からtRNA修飾酵素と標的RNAを系統的に分析する手法を構築し、RNA修飾による遺伝子発現の制御機構の一端を明らかにします。
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研究実績の概要 |
RNAは、プロセシングの編集加工(RNA成熟)を受け、機能性を獲得する。RNA成熟によるRNAの構造と機能の変化は、転写・翻訳などの遺伝子発現機構を制御する。その一方で、「どのRNAが、どのような成熟過程を経て、どのように遺伝子発現を制御するか?」の全貌は、明らかではない。本研究では、 a) tRNA修飾酵素の新規標的RNAを同定する技術開発 b) RNA修飾による標的RNAの構造と機能の変化 c) RNA修飾によるタンパク質合成系の制御 の3つの観点からtRNA修飾酵素と標的RNAを系統的に分析する手法を構築し、RNA修飾による遺伝子発現の制御機構の一端を明らかにすることを研究目的としている。 本研究に先立ち、基質RNAを多数調製する必要があった。基質RNAは、鋳型DNAを用いて試験管内転写法によって合成できる。鋳型DNAは、複数のDNAオリゴヌクレオチドをDNAポリメラーゼの伸長反応を利用することで調製できる。このDNAオリゴヌクレオチドの設計ステップを全自動化し、RNA誌に報告した(Matsuda et al, RNA, in press)。2023年度は、シュードウリジン合成酵素に着目した。本酵素は、基質をtRNAのみとすると信じられてきた。本酵素の基質特異性を理解するために、さまざまなRNA転写産物を調製し、本酵素と反応させた。反応産物を解析した結果、本酵素は、特定の5ヌクレオチドの配列を認識していることが示唆された。本配列を持つmRNAを試験管内転写法によって調製し、本酵素と反応させたところ、RNA転写産物がシュードウリジル化されたことを確認できた。これは、本酵素がtRNAだけでなく、mRNAも標的とすることを示唆している。そこで、現在、申請者が昨年度開発したバイサルファイト-tRNA-MaP法を用いて、mRNA中のシュードウリジンの網羅検出を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進歩状況をおおむね順調に進展していると評価した。その理由として、 (1)試験管内転写に用いる鋳型DNAを調製するためのオリゴヌクレオチドの設計に関するソフトウェアを開発し、論文として報告することができた。 (2)tRNAシュードウリジン合成酵素がmRNAに作用することを発見した。 等の成果が得られていることが挙げられる。研究開始当初の計画に沿って、本研究が進展していることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究の推進方策を以下に示す。 (1)申請者が開発したバイサルファイト-tRNA-MaP法を用いて、シュードウリジン合成酵素の基質RNAを網羅解析する。 (2)得られた基質RNAの二次構造を網羅解析することで、シュードウリジン合成酵素の基質特異性をRNAの配列と構造の観点から理解する。
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