研究課題/領域番号 |
22K15051
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
古池 美彦 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (70757400)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 概日時計 / 時計タンパク質 / ATP加水分解反応 / 自己脱リン酸化・自己リン酸化 / アロステリー / KaiC / 概日リズム / ATP加水分解 / リン酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
シアノバクテリアの概日時計は、時計タンパク質KaiCのATP加水分解反応、リン酸化/脱リン酸化反応によって誘起される協同的な分子内運動によって駆動される。これらの反応・運動を構成する多数の化学的素過程とその絡み合いは、その複雑性ゆえに個々にはほとんど理解されていない。本研究では、KaiCに作用して概日周期を短縮・伸長する低分子化合物を同定し、その結合部位・作用過程を特定することで、捕捉された素過程の化学機構を明らかにして、アロステリーに基づくKaiCの動作原理を理解する。
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研究実績の概要 |
時計タンパク質KaiCは、N末端ドメイン(C1)においてATPを加水分解(ATPase)し、時計システムのペースを規定する。C末端ドメイン(C2)ではリン酸化/脱リン酸化が繰り返されて振幅の大きな波形を生み出す。KaiA, KaiB, KaiCを試験管内で混合すると、KaiCのATPase活性・リン酸化状態が約24時間周期で振動する。 KaiCはS431、T432を自己リン酸化する。「夜」の位相で自己リン酸化したKaiC(KaiC-pST: SはS431, TはT432, pはリン酸化を示す)は、「夜明け」において脱リン酸化し(KaiC-ST)、「朝」に新しいサイクルを開始する(KaiC-SpT)。脱リン酸化からリン酸化へ転じるメカニズムを明らかにするため、S431, T432に変異導入して夜明けのKaiの構造と機能を調査した。X線結晶構造解析・生化学実験によってC2のリン酸化部位周辺、C1-C2界面、C1-ATPase活性部位の構造と機能を明らかにした。KaiCは「夜明け」において、C1-C2両ドメインをアロステリックに協働させることによって、「夜」「朝」の切替を行っていた。 ここで述べたリン酸化部位のうち、KaiC-STは自律的にT432を優先してリン酸化する。この反応はATPとT432側鎖の水酸基のあいだで進行すると考えられるが、そのメカニズムはこれまで明らかではなかった。Quantum Mechanics/ Molecular Mechanics(QM/MM)法によってT432リン酸化反応を可視化し、T432水酸基からプロトンを引き抜く一般塩基を特定した。また生化学実験を通して、一般塩基の触媒能を間接的に調節する部位を明らかにした。これによってはじめてKaiCの詳細な自己リン酸化メカニズムが提唱できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時計タンパク質のアロステリーにかかわるKaiC分子全体にかかる構造変化、活性部位における微小な構造変化を捉えることができ、本課題の目的を部分的に達成した。
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今後の研究の推進方策 |
時計タンパク質KaiCに相互作用する低分子化合物のスクリーニング、アロステリック阻害剤としての候補化合物の絞り込み、KaiC結晶の高分解能化、新規なアロステリック阻害剤とKaiCの複合体のX結晶構造解析等を実施する。
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