研究課題/領域番号 |
22K15057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江口 智也 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60829050)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膜タンパク質 / オルガネラ / 脂質膜 / 膜損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
真核生物の細胞内は脂質膜によって複雑に区画化されている。この脂質膜が破れると細胞内小器官の内外で物質が漏出してしまい細胞に深刻な障害を引き起こす。このような事態に対処するため細胞は脂質膜の損傷を検知する機構を有している。本研究では未知のメカニズムで脂質膜の損傷を検知するタンパク質であるPLAAT3をモデルとして解析することで、膜損傷に対する新し応答を明らかにするとともに、細胞内の損傷オルガネラを可視化するツールを新規開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
PLAAT3はオルガネラ膜の損傷に応答し局在変化する。本研究の目的の一つはこの局在変化メカニズムの解明であるが、本年度はこの膜損傷への応答という現象が細胞質に可溶化された膜タンパク質一般に共通するのかどうか解析した。膜タンパク質の脂質膜への挿入を阻害するため、膜挿入機構の1つであるEMCの機能抑制実験を行った。EMC6をノックダウンするとEMCクライアントである小胞体一回膜貫通タンパク質Cytb5などが小胞体膜へと挿入されず細胞質や核内に誤局在した。この条件でオルガネラの膜を損傷させると、可溶化されたEMCクライアントは損傷オルガネラへと局在変化した。以上のことから膜挿入機構に認識されなかった膜貫通タンパク質は細胞質に可溶化される場合があり、この時オルガネラの膜損傷に応答することが明らかとなった。 加えてオルガネラ膜損傷に対する各種タンパク質の応答を解析するため、特定のオルガネラの膜を自在に損傷させる光遺伝学ツールの開発に取り組んだ。ミトコンドリア外膜にポアを形成するBAXタンパク質と光スイッチとして機能しうるLOV2ドメインを組み合わせて、青色光依存的にBAXが活性化するシステムを開発した。BAXをミトコンドリア上に局在化させ青色光を照射すると実際にミトコンドリア外膜の損傷を誘導することに成功した。 さらにパーキンソン病原因遺伝子の1つにコードされたLRRK2がリソソームストレスに応答するメカニズムにオートファジータンパク質群の一部が関与することをこれまでに見出していたが、この内容についてさらに研究を進め著名な国際誌にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PLAAT3の膜損傷応答メカニズム解析のためのin vitroの実験はリコンビナントタンパク質合成などいくつかの実験において条件の探索に難航し進捗が遅れてしまった。しかしながら膜挿入機構欠損時のそのクライアントの局在解析などから、膜損傷応答がPLAAT3の特別な性質というわけではなく膜挿入機構に認識されなかった膜タンパク質一般の性質である可能性が明らかとなり研究対象としている現象の一般性が広がる結果が得られた。加えてPLAAT3を始めとするタンパク質のオルガネラ膜損傷への応答を解析するために光遺伝学的にオルガネラ膜を損傷可能なツールを開発した。これまで特定のオルガネラを損傷させる実験は主に化合物の投与によって行われておりシングルオルガネラレベルでオルガネラの膜を損傷させることは困難であった。本ツールは今後様々な研究に応用可能であると考えられ、当初の計画を超えさらなる発展が見込まれる。またLRRK2のリソソームストレス応答メカニズムに関する研究について著名な学術誌に報告することが出来た。以上を総合して「おおむね順調に進展している」の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
PLAAT3のC末端が損傷オルガネラ局在時にどのような構造をとっているのか損傷オルガネラ(あるいは損傷後に修復されたオルガネラ)を精製してin vitroで解析する。加えて高速原子間力顕微鏡などで直接的に分子の動態を解析する計画を立てている。またPLAAT3と同様の膜損傷応答を示す他のタンパク質を探索する。オルガネラ損傷を誘導する光遺伝学ツールの開発については、リソソームや小胞体など細胞内の様々なオルガネラに対して使用可能であるかどうか解析を進める。
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