研究課題/領域番号 |
22K15063
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
宍戸 史 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (60601284)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 糖転移酵素 / 糖脂質 / 小胞体搬出 / 局在制御 / スフィンゴ糖脂質合成酵素 / 選別輸送 / ERES |
研究開始時の研究の概要 |
スフィンゴ糖脂質合成酵素は主にゴルジ体に局在し、多様な種類の糖脂質合成を担う。糖脂質の合成経路や酵素の機能が詳細に明らかにされているのに対し、酵素が小胞体で合成された後にどの様にして働く場のゴルジ体へ輸送されるのかは未解明である。申請者は細胞質領域N末端に存在する塩基性アミノ酸クラスター(R/K-based motif)が酵素の小胞体搬出シグナルであることを見出したが、搬出機構の全容は明らかではない。本研究ではスフィンゴ糖脂質合成酵素の小胞体搬出機構に関わる分子の同定を行い、小胞体膜ERES上での選別・濃縮機構を解明する。
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研究実績の概要 |
スフィンゴ糖脂質合成酵素は主にゴルジ体に局在し、多様な種類の糖脂質合成を担う。糖脂質の合成経路や酵素の機能が詳細に明らかにされているのに対し、酵素が小胞体で合成された後にどの様にして働く場のゴルジ体へ輸送され安定してゴルジ体に留まるのかは未解明である。申請者は代表的な糖脂質であるガングリオシドGM3を合成するGM3合成酵素(GM3S)において細胞質領域N末端側に小胞体からゴルジ体への搬出シグナル(R/K-based motif)を、ゴルジ体から小胞体への逆行輸送シグナル(R-based motif)をもつことを見出した。さらにマウスGM3Sを安定発現させたCHO細胞を用いた解析により、GM3SはN末端領域の長さが異なる複数のアイソフォームが存在し、細胞内輸送シグナルの有無によって異なる細胞内局在や細胞内安定性を付与されることで複数のアイソフォームが協働して安定した糖脂質生合成を行っている可能性を示唆した。 本研究では、ヒトGM3Sが逆行輸送を制御する塩基性アミノ酸クラスター(R11、R12)をもつにも関わらず酵素の一部が小胞体への逆行輸送が行われずにゴルジ体に留まることを見出し、逆行輸送効率低下の原因となるアミノ酸配列を新たに同定した。 近年ではスフィンゴ糖脂質の合成に関わる遺伝子の異常で重篤な臨床症状を引き起こすことも報告されており、筆者らも先天性神経疾患患者の糖鎖合成酵素遺伝子の新規変異について活性評価・機能解析を行い、確定診断につなげた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に得られた新規知見の検証により、当初の研究計画から遅れが生じていた。GM3S、GM2S、SMSのERES局在の比較を行い、小胞体搬出ゾーンの解析を進めている。小胞体搬出を担うCOPII小胞の構成成分Sec24の4つのパラログであるSec24A/B/C/DそれぞれのKO細胞を樹立も進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
Sce24A/B/C/DをそれぞれKOしたHEK293T細胞の樹立後は、当初の研究計画に従って、GM3S、GM2Sで合成されるガングリオ系列糖脂質と結合するコレラトキシンBサブユニット(cholera toxin B, CTx-B)、およびスフィンゴミエリン(SM)結合性タンパク毒素(Lysenin, Equinatoxin II)で染色し、フローサイトメーター(FACS解析)を用いて細胞膜表面の脂質組成を野生型と比較を行う。それによりCOPII小胞への濃縮・積込に関与するSec24の同定を行う予定である。
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