研究課題/領域番号 |
22K15071
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 達也 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (90890145)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 非凍結細胞保存 / 氷結晶結合タンパク質 / 不凍機能 / 細胞膜 / 氷結晶 / 氷結晶タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
氷結晶結合タンパク質(IBP)は低温環境に生息する様々な生物が生産する生体保護物質であり、氷結晶に結合してその成長を抑制する不凍機能と、細胞に結合してその細胞を低温障害から保護する細胞保護機能を持つことが知られている。本研究では、IBPの非凍結細胞保護機能の基本的情報から分子メカニズムまでを幅広く明らかにするために、細胞保存実験、蛍光観察実験、X線1分子動態計測実験などを用いて研究を行う。これにより、IBPの細胞保護機能と氷結晶成長抑制機能との相関関係を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、氷結晶結合タンパク質(IBP)が非凍結低温下でどのように細胞を保護しているのかを、分子レベルで明らかにすることを目的とした。様々な種類のIBPを作製し、構造の大きく異なるIBP全てが細胞を保護することを明らかにした。さらに、氷結晶結合部位にアミノ酸変位を導入した結果、それらの細胞保護効果が大きく変化したため、氷結晶結合部位が細胞吸着に関与することが示された。また、IBPが低温において細胞に不可逆的に吸着することを実験的に証明した。これらの結果をまとめ、責任著者として論文発表した。これらの結果は、細胞の低温耐性機構獲得の解明に大きく貢献すると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞の保存技術の発展は、研究・医療分野において非常に重要な課題である。一般的に細胞は-80℃以下の超低温で冷凍保存される。しかし、血小板などの細胞や臓器は凍結保存ができないため、非凍結低温下で保存される。この際にも細胞は様々なダメージを受けるため、短期間しか保存することができないのが現状である。本研究において明らかになった、様々な構造を持つIBPが低温で細胞を保護可能であるという発見は、IBP添加するだけで様々な細胞の保存期間を延長できる可能性を示唆している。今後、この細胞保護効果の分子メカニズムを更に解明していくことで、細胞をより長期間保存する技術の発展に貢献する事ができると考えられる。
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