研究課題/領域番号 |
22K15084
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大石 裕晃 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70912434)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | アレルの区別 / リピート配列 / 新生RNA / mRNA / RNA-seqFISH / インプリント遺伝子の転写動態 / 転写バースト / ゲノム刷り込み / ライブイメージング / 高次ゲノム構造 / 多様性 / DNAメチル化 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノムインプリンティングは、父・母由来のエピジェネティックな情報の差に起因した片親性の遺伝子発現を示す現象である。しかしながら、インプリンティング研究の多くが細胞集団や特定の時間軸での研究に基づいているため、個々の細胞レベルでどのようにしてアレル特異的な遺伝子発現を調節しているのか、その詳細は不明である。この課題を解決するために、複数のゲノム領域と遺伝子発現を同時可視化する連続蛍光イメージング法および申請者らが開発した生細胞における遺伝子座・転写同時可視化法を用いて、時空間的なインプリンティング制御機構の詳細を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ゲノムインプリンティングのアレル間の転写制御機構の解明のために、マルチ空間オミクス技術を用いた解析を進めている。昨年度、インプリンティングを受ける遺伝子の転写状態を解析したところ、その発現様式に多様性があることがわかっていた。そのため、より広範な範囲でのインプリンティングを受ける遺伝子の発現と高次ゲノム構造の解析を進めている。本年度の成果としてはゲノムインプリンティングを受ける解析対象領域の選定、この選定に基づくプローブの合成、異なるマウス系統間でのアレルの区別するための手法の開発を行った。プローブの合成については、遺伝子の転写の評価方法として、すべてのゲノムインプリンティングを受ける遺伝子群について、mRNAレベル、新生RNAレベルを計測できる系を構築した。さらに24カ所のゲノムインプリンティングを受けるゲノム領域について、プローブの設計を行い、当初の想定より大規模な系を構築することに成功した。最終年度はこれらを用いて蛍光イメージングを用いた空間オミクス解析によるゲノムインプリンティングの維持機構の解明を進める予定である。さらにアレルをDNAレベルで区別するために、リピート配列を標的としたアレル特異的DNA検出方法を開発した。従来アレルの区別は困難であったが、異なるマウス系統間のゲノム解析による特定領域のSNPsの同定と検出感度の高いpadlock法を活用し、特異的にアレルを染色可能である。このアレル区別法と合成したプローブを用いて、高解像度なマルチ空間オミクス解析を実施する。さらに空間オミクスの派生研究として、空間オミクスとシュミレーションによる転写場特異的な粘性の上昇やタンパク質の連続免疫染色技術の開発に貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プローブの選定、プローブの合成という空間オミクス解析に最も時間を要する基本的な項目についての準備はすべて整った。また当初はライブイメージングを計画していたが、ライブイメージングを再現可能な手法を用いる予定である。空間オミクスデータによって取得された複数のデータをその類似度に従って、数珠上につなぎ合わせることが可能である。この類似情報と一定のタイムスケールのサンプルを利用することで、時間情報を疑似的に再現できる。これを軸として時空間的な解析を進めていく予定であり、研究の進捗は問題ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
合成したプローブを用いて該当の細胞に対して空間オミクス解析を実施予定である。現在、空間オミクスに使用する蛍光顕微鏡や液交換に利用するデバイスも利用可能であり、速やかに実験を進めることができる。これらの解析によって得られる画像データは、本年度公開予定である画像解析技術によって、迅速に統計的な解析を実施できる。
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