研究課題/領域番号 |
22K15087
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
寺嶋 秀騎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (60912897)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 腸内細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトに共生する腸内細菌叢は、代謝物の産生・有害物質の解毒・宿主の免疫制御など、我々の生理機能において重要な役割を果たしている。しかし、約1000種もの細菌から構成される腸内細菌叢がどのような分子制御により機能を担うのか、具体的なメカニズムについて記述した研究は少ない。そこで本研究では、宿主の遺伝子発現における腸内細菌の影響について新規の分子メカニズムを解き明かす。また、宿主mRNAの化学修飾(エピトランスクリプトーム)が腸内細菌による制御を受ける可能性について検証する。
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研究実績の概要 |
宿主の消化管に共生する腸内細菌の乱れは、がん・炎症性腸疾患・アレルギー・肥満など様々な疾患のリスク要因であることが知られている 。したがって、これらの病態の理解や腸内細菌叢を介した治療法の開発を推進するためには、腸内細菌が宿主に与える影響の分子基盤を解明する必要がある。実際に、腸内細菌叢との相互作用により宿主の遺伝子発現は多大な影響を受けることが知られている。しかし、具体的にどの腸内細菌がどのようなシグナルを介して遺伝子発現に影響するのか、詳細な分子機構については未解明の部分が多く残されている。 本研究では、通常環境下におけるマウスと腸内細菌を持たない無菌マウスの遺伝子発現をRNA-seqデータから比較解析することにより、腸内細菌からの影響を受ける遺伝子を網羅的に探索した。その結果、腸内細菌の共生により発現が変化する遺伝子群を様々な組織において多数同定することに成功した。特に注目すべきは、無菌マウスと比べて通常環境下のマウスにおいては、I型インターフェロン応答遺伝子群が過剰発現していたことである。この結果から、腸内細菌を介した遺伝子発現制御の具体的な作用点としてインターフェロン経路が候補として示唆された。そこで、インターフェロン応答に重要な役割を果たすことが知られている転写因子であるIrf9を欠損したマウスの腸管上皮からRNAを抽出し、リアルタイムPCR法によって遺伝子発現を確認したところ、顕著なインターフェロン応答遺伝子の発現変動は観察されなかった。そのため、腸内細菌による宿主の遺伝子発現誘導においてはIrf9以外の転写因子が重要な働きを担っていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
通常環境下におけるマウスと腸内細菌を持たない無菌マウスのRNA-seq解析により、腸内細菌の影響下にあると考えられる宿主の遺伝子群リストを得ることができた。さらに、複数の遺伝子欠損マウスから採取したサンプルの定量的解析により、腸内細菌が宿主の遺伝子発現を誘導するための作用点となる分子の同定を試みている。加えて、RNA-seqデータから宿主mRNAの化学修飾状態を測定したところ、通常環境下のマウスと比較して無菌マウスの大腸上皮と肝臓においてはmRNAの修飾状態が低下している傾向が観察された。この結果は、腸内細菌が宿主のエピトランスクリプトームを制御している可能性について示唆しており、腸内細菌叢に依存した新規の分子メカニズム解明について進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
腸内細菌による遺伝子発現の制御に関して重要な役割を果たす経路を、遺伝子欠損マウスを用いて明らかにする。具体的には、インターフェロン受容体であるIfnar1やIfngr1欠損マウスの腸管上皮細胞を採取し、腸内細菌による制御を受ける遺伝子群について発現量を測定する。また、無菌マウスのRNA-seqデータにおいて観察されたmRNAの化学修飾状態の低下について、異なる実験手法を用いて個別のmRNAの修飾状態についてより定量的に解析を行う。さらに、mRNAの修飾状態はインターフェロン応答にも関与することが知られているため、腸内細菌による遺伝子発現制御とmRNA修飾制御についての統合的な分子メカニズムの解明を試みる。
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