研究課題/領域番号 |
22K15099
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川口 紘平 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (10835515)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | オートファジー / オルガネラ / ショウジョウバエ / Stx17 / SNARE |
研究開始時の研究の概要 |
ショウジョウバエを始めとした昆虫では、他の生物と比較して、ストップコドンの読み飛ばしが高頻度に見られるが、その具体的な意義はこれまで明らかにされていない。 本研究は、ショウジョウバエを用いて、ストップコドンの読み飛ばしにより生じたSNAREタンパク質Stx17の新たなアイソフォームが、どのような生理的機能をもつのか明らかにする。本研究から得られる知見は、ストップコドン読み飛ばしがタンパク質の機能を変化させることを示す初めての例となり、当該研究領域の発展に大きく寄与すると期待される。
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研究実績の概要 |
Stx17のストップコドン読み飛ばし効率を図ることができるレポーターコンストラクトを作成し、延長型Stx17を高発現する組織を調べた。その結果、延長型Stx17は神経系で高発現することが明らかになった。次に、神経系での通常型Stx17と延長型Stx17の細胞内局在を調べたところ、両者に明確な違いは確認できなかった。続いて、質量分析によって延長型Stx17に結合するSNAREパートナーを調べた。その結果、ERやゴルジ体に局在するいくつかのSNAREタンパク質が通常型Stx17よりも、延長型Stx17に強く結合することが明らかになった。最後に、延長型 Stx17 を特異的にノックアウトしたショウジョウバエを樹立し、その表現系を解析した。延長型Stx17ノックアウト系統は、野生型と比較して明らかな発生の異常や、運動機能の差、寿命の変化を示さなかった。神経細胞のオルガネラの構造と機能にも明らかな異常はみられなかった。 これまでの研究では、延長型Stx17が獲得した新しい機能を解明することはできなかったものの、ストップコドンの読み飛ばしは神経系で高頻度に起こることがあきらかになった。今後は、作成したツールを活用してストップコドン読み飛ばしのメカニズムを解明し、その意義を明らかにしたいと考えている。次年度は、神経系で高発現している翻訳制御因子の中から、Stx17のストップコドン読み飛ばしに必要な因子を明らかにしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた延長型Stx17の細胞内局在、結合SNAREパートナー、ノックアウト系統の解析は本年度で完了した。通常型と延長型Stx17の機能の違いを見いだすことはできなかったが、次年度にストップコドン読み飛ばしの機構を解析する基盤を作ることが出来たため、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度作成したストップコドン読み飛ばし効率を測る事ができる実験系を用いて、ストップコドン読み飛ばしのメカニズムを解析する。
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