研究課題/領域番号 |
22K15100
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中津 大貴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (30781299)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 癌化 / 上皮細胞 / タイトジャンクション / トリセルラータイトジャンクション / 細胞接着 / 細胞遊走 / 細胞浸潤 / ピルビン酸産生酵素 / キナーゼ / バイオインフォマティクス |
研究開始時の研究の概要 |
トリセルラータイトジャンクションは、上皮細胞の三細胞接着点に構成される細胞間接着装置である。この細胞間接着装置の形態形成不全は、癌化した上皮細胞の増殖や浸潤促進などの重篤な問題を引き起こす。研究実施者は、トリセルラータイトジャンクションの形態形成に必要となる構成タンパク質の局在化に、M型ピルビン酸産生酵素の1つであるPKM1の発現が必須であることを、最近発見した。本研究では、PKM1がトリセルラータイトジャンクションへ構成タンパク質を局在化させるメカニズムを解明する。加えて、PKM1依存的構成タンパク質の局在化が、癌化上皮細胞の増殖や浸潤の抑制に寄与し得るのかを検証する。
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研究実績の概要 |
トリセルラータイトジャンクションは、上皮細胞間の三細胞接触部の密着結合を担う構造体である。そして、トリセルラータイトジャンクションの正常な機能発現には、構成タンパク質であるLSRやtricellulinの局在化が必須である。私達は、M型ピルビン酸産生酵素であるPKM1の発現抑制が、トリセルラータイトジャンクションから二細胞接触部のバイセルラータイトジャンクションへ、LSRやtricellulinを拡散させることを、マウス乳腺上皮由来癌化細胞を用いた実験から明らかにした。また、PKM1の発現抑制が、トリセルラータイトジャンクションへの構成タンパク質の局在化を促進する非受容体型チロシンキナーゼであるPYK2の不活性化によるLSRのY237のリン酸化阻害を介して、局在変化を引き起こすことを示した。さらに、PYK2の不活性化が、PKM1の発現抑制によりタンパク質リン酸化酵素ERKによるSMAD4のリン酸化が亢進する、リン酸化の亢進により転写調節機能を持つSMAD4の核内移行が促進される、SMAD4の転写調節機能の活性化によりPYK2の発現量が減少する、発現量減少の結果としてPYK2のタンパク質量と活性が低下する、というメカニズムで引き起こされることを示唆した。加えて、PKM1依存的な構成タンパク質の局在化によるトリセルラータイトジャンクションの形成が、一般的に知られている上皮細胞間の密着結合による細胞間隙の物質透過制御だけでなく、患者数の最も多い癌の1つである上皮癌の悪性化因子である、癌化上皮細胞の遊走や浸潤を抑制することを示唆した。これらの結果は、トリセルラータイトジャンクションの新機能の存在を示唆することに加えて、報告されているPKM1による上皮癌の悪性化防止に、トリセルラータイトジャンクションの形成促進による癌化上皮細胞の遊走や浸潤の抑制が寄与する可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施により、M型ピルビン酸産生酵素であるPKM1が、上皮細胞間の三細胞接触部の密着結合を担う構造体であるトリセルラータイトジャンクションの形成を促進する機構として、PKM1によるSMAD4の不活性化を介したPYK2の発現及び活性の亢進があることが、明らかになった。また、PKM1依存的なトリセルラータイトジャンクションの形成促進が、癌化上皮細胞の遊走や浸潤を抑制することも示された。このように、本研究計画で掲げた2つの研究目標である、(1)PKM1がトリセルラータイトジャンクションの形成を促進する機構の解明、(2)PKM1依存的なトリセルラータイトジャンクション形成が癌化上皮細胞の遊走や浸潤に与える影響の分析を、達成できた。以上の理由より、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究により、PKM1がトリセルラータイトジャンクションの形成を促進する機構と、トリセルラータイトジャンクション形成が細胞遊走と細胞浸潤を抑制する機構が、乳腺上皮由来癌化細胞に存在することが確認された。今後の研究では、上記2つの機構が、乳腺上皮以外に由来する癌化細胞にも存在するかを、ヒト網膜色素上皮由来癌化細胞であるARPE-19や、ヒト結腸由来癌化上皮細胞であるCaco-2などを用いて確認する予定である。
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