研究課題/領域番号 |
22K15101
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
武田 英吾 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (20836366)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | オートファジー / 選択的オートファジー / プロテオーム解析 / 出芽酵母 / ストレス応答 / 液胞 / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
オートファジーは細胞質成分をランダムに分解していると考えられてきたが、特定のタンパク質は集合状態の違いに応じて分解効率が変化することがわかってきている。本研究ではどのような状態の細胞成分がオートファジーによる分解を受けにくいかを調べる。質量分析を用いたオートファジー分解基質のプロテオーム解析により他の基質よりも分解されない基質群を選別し、分解されにくいタンパク質の共通性を調べることで、オートファジー分解を受けにくい細胞成分の状態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
私たちは電子顕微鏡解析により窒素源飢餓時に合成されたグリコーゲンはオートファジーを介して液胞に送られにくいことを確認していた。一方で、24時間を超える長期の窒素源飢餓にはグリコーゲンは徐々に液胞にオートファジーを介して送られることがグリコーゲンに結合するタンパク質Gsy2-GFPを用いたGFPクリベージアッセイにより示唆されていた。 本年度の研究では、オートファジーを介した液胞へのグリコーゲンの輸送が時間依存的に変化することを確認するため、窒素源飢餓時の出芽酵母の電子顕微鏡解析を行った。その結果、処理後4時間の細胞ではオートファジーを介して液胞に送られたオートファジックボディ内にグリコーゲンが見られなかったのに対して、処理後48時間後ではグリコーゲンを含んだオートファジックボディが複数確認された。また、その際に細胞質に確認されたほとんどのオートファゴソームにグリコーゲンが含まれていたため、窒素源飢餓が進むとグリコーゲンがオートファジーを介して輸送されやすくなることが示された。この結果は私たちが見つけたオートファジーレセプタータンパク質Atg45の発現と相関している。 また、長期の窒素源飢餓条件においてAtg45欠損細胞では、野生型と比較して液胞に送られたグリコーゲン量が著しく減少したが、多くの選択的オートファジーに関与する足場タンパク質Atg11の欠損細胞ではそのクリベージの減少はわずかであった。そこで非選択的オートファジーの活性をPgk1-GFPのクリベージアッセイにより確認したところ、Atg11の欠損細胞では窒素源飢餓時にPgk1-GFPのクリベージがGsy2-GFPのクリベージの減少と同様の割合で減少したことから、Atg11はグリコーゲンの輸送に直接関与するわけではなく、オートファジー全体の活性が減少していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリコーゲン分解のマーカーとして用いていたGsy2-GFPを用いた結果が電子顕微鏡解析においても確認され、Gsy2-GFPを用いてグリコーゲンの液胞への輸送を解析することが有効であることが示されたため、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
グリコーゲンのどのような性質がオートファジーを免れるのに寄与しているのか明らかにするため、グリコーゲンの性質が変化するような変異体の作成を試みる。また、オートファジーを介して分解されにくい大きな人工構造体に関しても大きさや流動性を変化させるなどしてオートファジーを介した液胞への運ばれやすさを評価する。
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