研究課題/領域番号 |
22K15102
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 理奈 京都大学, 生命科学研究科, 特定研究員 (80912493)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 細胞死 / オートファジー / 細胞間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
ショウジョウバエ上皮組織に生じたYki活性化細胞は、自身が増殖するだけでなく、周囲の正常細胞に細胞死を誘導するスーパーコンペティションを引き起こす。スーパーコンペティションは細胞競合の一種であり、組織中の適応度の高い細胞(勝者)が適応度の低い細胞(敗者)に細胞死を引き起こして排除する現象である。しかし、Ykiの活性化がスーパーコンペティションを引き起こす分子メカニズムはわかっていなかった。そこで本研究では、Yki活性化細胞に近接した正常細胞で細胞死が誘導される分子メカニズムを解析する。これによりスーパーコンペティションを人為的に制御できれば、新たながん治療戦略の基盤を構築できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
ショウジョウバエ上皮組織に生じたYki活性化細胞は、自身が増殖するだけでなく、周囲の正常細胞に細胞死を誘導するスーパーコンペティションを引き起こす。スーパーコンペティションは細胞競合の一種であり、組織中の適応度の高い細胞(勝者)が適応度の低い細胞(敗者)に細胞死を引き起こして排除する現象である。しかし、Ykiの活性化がスーパーコンペティションを引き起こす分子メカニズムはわかっていなかった。研究代表者らはこれまでに、Yki活性化細胞ではそのターゲットであるmicroRNA bantamを介してTORシグナルが活性化しており、このシグナルが周りの正常細胞の細胞死誘導に必要であることを見いだした。重要なことに、bantamを過剰発現するだけで周囲の正常細胞に細胞死が引き起こされたため、bantamがスーパーコンペティションを引き起こすのに十分であることがわかった。しかしながら、TORシグナルを活性化するだけではスーパーコンペティションは引き起こされなかった。そこで本研究では、「bantamの下流でTORシグナルに加えて周りの正常細胞の細胞死誘導に必要なシグナル因子」を明らかにすることで、スーパーコンペティションの分子機構を明らかにすることを目的とした。令和4年度は、bantam過剰発現細胞(勝者)に変異を誘導していった際に、周囲の正常細胞(敗者)の細胞死が抑制される系統を探索するショウジョウバエ遺伝学的スクリーニングを行った。その結果、正常細胞の細胞死を抑制する複数の遺伝子変異を同定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、スーパーコンペティションにおいて敗者細胞に細胞死を誘導するメカニズムを明かにしようとするものである。令和4年度では、bantam過剰発現細胞(勝者)に変異を誘導していった際に、周囲の正常細胞(敗者)の細胞死が抑制される系統を探索するショウジョウバエ遺伝学的スクリーニングを行った。その結果、正常細胞の細胞死を抑制する複数の遺伝子変異を同定することに成功した。以上のことから、スーパーコンペティションにおける敗者細胞の細胞死誘導に必要な遺伝子を見いだすことができたため、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝学的スクリーニングにより得られた結果をもとに、詳細な遺伝学的解析を進める。具体的には、これら変異をbantam過剰発現細胞内に誘導した際に、TORシグナル活性やタンパク質合成能に影響がでるかを解析する。これらシグナルに影響がなかった場合、「bantamの下流でTORシグナルに加えて周りの正常細胞の細胞死誘導に必要なシグナル因子」を同定できる可能性が高い。さらには、bantamのターゲット遺伝子をノックダウンした細胞が周囲の正常細胞に細胞死を誘導するかを解析する遺伝学的スクリーニングを行うことで、細胞競合を引き起こす十分条件を明らかにする。
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