研究課題/領域番号 |
22K15125
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白根 健次郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50855004)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 卵母細胞 / 発生能獲得 / エピゲノム / 転写因子ネットワーク / 体外再構築系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、雌雄の配偶子におけるゲノム機能の相互補完性を保証するメカニズムを明らかにする。配偶子は雌雄で異なるゲノム機能をもち、接合により相互補完されることにより発生能を獲得する。マウスをモデルとしたこれまでの研究は、性特異的なゲノムインプリントの確立機構の解明に注力されてきたが、雌雄の配偶子の相互補完性を保証する機構に着目したものは少ない。本研究では、生殖細胞の分化を再現する再構築系とゲノム網羅的な手法を用いて、卵子のゲノム機能の精子化を阻害する因子とその調節因子の同定を目指す。また、それらの摂動による発生能への影響を検証し、雌雄の配偶子が異なるゲノム機能を獲得する生物学的意義を考察する。
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研究実績の概要 |
雌雄の配偶子は異なるゲノム機能をもち、接合により相互補完されることにより発生能(全能性)を獲得する。本研究では、ゲノム機能制御の代表例である配偶子のエピゲノム(特にDNAメチル化)制御に着目する。具体的には、①卵母細胞エピゲノムの雄性化を抑制する卵母細胞因子の同定と②その因子の発現制御機構の解明を目指す。初年度は、①の達成を目指し、以下の2項目を実施した。(1)卵母細胞因子を欠損するマウスES細胞の作出とそのES細胞を起点とした卵母細胞の誘導(後述の卵巣の体外再構築系を利用)と(2)因子欠損型の卵母細胞における全ゲノムDNAメチル化地図の作成である。 (1)CRISPR/Cas9法により、卵母細胞因子の発現制御領域を欠損させたES細胞を作出した。このES細胞を起点として、エピブラスト様細胞を誘導したのちに、始原生殖細胞様の細胞へと分化させた。セルソーターにより分取した始原生殖細胞様の細胞を胎齢12.5日胚の卵巣体細胞と凝集させたのちに、気相液相培養を行い、体外で卵巣を構築した。この体外再構築卵巣から二次卵母細胞を採取し、定量PCR法により卵母細胞因子の発現消失を確認した。 (2)酵素反応をベースとするDNAメチル化解析手法のEM-seq(Enzymatic Methyl-seq)法を微量細胞へと最適化したのちに全ゲノムDNAメチル化解析に着手した。野生型、因子欠損型の二次卵母細胞からEM-seq法によりライブラリーを調製し、全ゲノムDNAメチル化地図を作成した。現在、欠損型においてDNAメチル化変化領域の抽出を進めている。 最後に、本研究で取り上げている生殖細胞の発生とエピゲノム動態の現状のまとめと展望についての総説を発表した(Shirane, 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵母細胞因子を欠損するES細胞の作出とそのES細胞を起点とした卵母細胞への分化誘導実験、さらには卵母細胞の全ゲノムDNAメチル化解析は当初計画通り進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
上述のDNAメチル化解析をさらに進め、卵母細胞因子の欠損により変化するDNAメチル化領域の特徴の抽出やそのヒストン修飾との関連を調べる。また、着目する卵母細胞因子の発現制御機構を明らかにするため、この因子の発現制御領域に直接結合する転写制御因子の同定を目指す。卵母細胞特異的に発現する複数の転写制御因子に着目し、実験条件の最適化ののちにそれらのCUT&RUNを実施する。
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