研究課題/領域番号 |
22K15135
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松本 光梨 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10914153)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 胚発生 / 先端成長 / ライブイメージング / 細胞内動態 / シロイヌナズナ |
研究開始時の研究の概要 |
多細胞生物の発生は、単細胞である受精卵から始まる。ほとんどの植物の受精卵は、上下に極性化して非対称分裂することで上下軸を形成するが、その仕組みは未だ不明である。代表者は高精細ライブイメージングにより、受精卵が『先端成長』と呼ばれる細胞伸長の仕組みを用いて極性化を果たす可能性を見出した。そこで本研究では、受精を起点とした極性化の仕組みと意義を暴くことを目的として、先端成長における既知の分子機構を基にして、受精卵の極性化機構に迫るとともに、それが受精を起点としてどのように駆動されるかを解明する。さらに、その機構が受精卵内部をどのように偏らせ、異なる性質をもつ娘細胞を生むかにも迫る。
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研究実績の概要 |
シロイヌナズナ受精卵は、受精後、細胞伸長し、その後の非対称分裂を経て、上下に二つの娘細胞を作り出す。近年、代表者らは、シロイヌナズナ受精卵の高精細ライブイメージング解析により、細胞伸長の際に細胞内動態が大きく変化することを見出した。例えば、ミトコンドリアは受精卵の上側へ、液胞は下側へと移動し、受精卵は極性化する。また分裂後にこれらのオルガネラは二つの娘細胞に不等分配されることも見出した。娘細胞の違いを生み出す受精卵の極性化および細胞伸長は、植物の形作りの原点といえるが、その詳細な制御機構は未だ不明である。代表者は、受精卵が「先端成長」することに着目し、伸長様式を起点とした受精卵の極性化の分子機構に迫るべく研究を進めている。 代表者は、ライブイメージング解析により、受精卵において、先端成長細胞の特徴であるカルシウム振動が伸長中に起こること、そして受精卵のカルシウム振動が伸長の速度変化と連動していることを明らかにした。また、カルシウム振動がどのようにして受精卵の伸長を制御するかを明らかにすべく、カルシウム非存在下における細胞骨格の挙動を観察した。その結果、受精卵において、カルシウム振動は、受精卵伸長に重要な働きを果たしていることが知られている微小管(Kimata et al., 2016)の配向に影響を与える可能性が示唆された。現在、得られたライブイメージング画像を基に、定量的解析を行うとともに、論文執筆の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライブイメージング解析と、阻害剤の投与実験を組み合わせることで、Ca振動の受精卵における役割を見出すことができた。さらに、現在、Ca振動が伸長を制御する際に働く実働因子の特定のため、受精卵のトランスクリプトームデータを基に、受精後に発現上昇するCaチャネルや微小管関連因子の変異株の解析に着手している。また、機能重複の可能性がある因子については、多重変異体を作出しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
変異体の表現型解析および、候補因子の局在・機能解析を進め、Ca振動による受精卵の極性化および伸長の制御メカニズムを明らかにする。最終年度となるため、論文執筆も進める。
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