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受容体様キナーゼの極性スイッチの分子機構と生理学的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15139
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分44030:植物分子および生理科学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

吉成 晃  名古屋大学, 高等研究院, 特任助教 (00829872)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード細胞極性 / 受容体 / シロイヌナズナ / 受容体様キナーゼ / 極性スイッチ / 膜交通
研究開始時の研究の概要

植物細胞では、様々な受容体や輸送体タンパク質が特定の細胞膜ドメインに局在することで、形態形成やシグナリング、方向性をもった物質輸送が行われている。本研究では、シロイヌナズナのロイシンリッチリピート受容体様キナーゼ (LRR-RLK)のうち、極性局在性の受容体様キナーゼを多く包含する「VIIサブファミリー」に着目し、申請者が発見したDUAL POLAR KINASE (DPK) の「極性スイッチ」機構の解明を軸として、極性スイッチの普遍的分子機構とその生理学的意義を明らかにするとともに、植物進化の過程でどのように極性スイッチが生まれ多様化したのかを解明する。

研究実績の概要

植物細胞の細胞表層では、様々なタンパク質が特定の領域に局在することで、その機能を最適化している。根細胞に発現する細胞膜に埋め込まれたトランスポーターや受容体の中には、土壌側や維管束側の異なる細胞膜領域に特異的に局在するものが存在することが知られているものの、植物細胞がどのように位置や方向といった空間情報を処理し、タンパク質の局在性を制御しているのかは明らかになっていない。本研究では、シロイヌナズナを材料とし、細胞層特異的に180度極性方向を変える新規受容体様キナーゼ・DUAL POLAR KINASE 1 (DPK1) の 「極性スイッチ」 の分子機構を明らかにすることで、植物の膜タンパク質が内側/外側の極性ドメインに局在するための普遍的な仕組みの理解を目指す。さらに、極性スイッチを失ったDPK1の機能解析により、DPK1の極性スイッチがもつ生理学的意義を明らかにする。
質量分析によって得られていたDPK1のリン酸化サイトは、キナーゼドメインの特徴的なループ領域に集中していることがわかった。これらのリン酸化サイトのアミノ酸を置換した結果、DPK1の極性局在性は著しく損なわれた。また、このループ領域には多数の酸性アミノ酸が存在し、この中でも特に種間保存性が高い2つのグルタミン酸とアスパラギン酸を塩基性アミノ酸のアルギニンに置換した結果、DPK1の極性局在性が失われた。DPK1の酸性ループ領域は、リン酸化とともに何らかのタンパク質との静電的相互作用の場として機能する可能性がある。共免疫沈降法によって同定されていたDPK1の相互作用因子の候補遺伝子についてのクローニングを行い、局在解析の準備ができたほか、それぞれの遺伝子破壊株を作出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

DPK1のキナーゼドメイン内部の酸性ループ領域に含まれるグルタミン酸とアスパラギン酸が、DPK1の極性局在に必須であることを突き止めた。DPK1の酸性ループ領域と相互作用する可能性があるタンパク質を免疫沈降法で同定し、これらの遺伝子破壊株を用いた実験を行っている。一方、当初計画していた細胞層特異的なリン酸化サイトの同定については、DPK1に融合するタグとしてGFPの代わりに3xFLAG-GFPを用い、再度コンストラクションを行った。現在、シロイヌナズナ形質転換体を作出しているところである。以上、DPK1の相互作用因子を同定するという目的に関しては期待以上の進捗度ではあるものの、DPK1の細胞層特異的なリン酸化サイトの同定という目的については進捗が遅れている。

今後の研究の推進方策

DPK1の細胞層特異的なリン酸化サイトの同定に向けたシロイヌナズナ形質転換体の作出を急ぐ。DPK1の相互作用因子の候補について、逆遺伝学的手法による機能解析やFRETによるin vivo相互作用の検証を行う。DPK1は側根原基に発現するロイシンリッチリピート型受容体様キナーゼであるが、そのリガンドや下流のシグナリング経路についての知見はない。DPK1の生理学的機能を明らかにするため、dpk1変異株やDPK1過剰発現体を用いた比較トランスクリプトーム解析を行い、DPK1がどういった生物学的プロセスに関わるかを突き止める。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] デュッセルドルフ大学(ドイツ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Near‐infrared imaging of phytochrome‐derived autofluorescence in plant nuclei2024

    • 著者名/発表者名
      Yoshinari Akira、Isoda Reika、Yagi Noriyoshi、Sato Yoshikatsu、Lindeboom Jelmer J.、Ehrhardt David W.、Frommer Wolf B.、Nakamura Masayoshi
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: - 号: 5 ページ: 1699-1712

    • DOI

      10.1111/tpj.16699

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Live imaging of plant nucleus using autofluorescence of phytochromes2024

    • 著者名/発表者名
      Akira Yoshinari, Reika Isoda, Noriyoshi Yagi, Wolf B. Frommer, Masayoshi Nakamura
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Discovery of a novel small molecule that inhibits boron transport activity of BOR12023

    • 著者名/発表者名
      Akira Yoshinari, Ayato Sato, Wolf B. Frommer, Masayoshi Nakamura
    • 学会等名
      ホウ素栄養研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 受容体様キナーゼDPK1の極性局在機構における酸性ループ領域の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      吉成晃、三城恵美、加納圭子、桑田啓子、ウォルフフロマー、中村匡良
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 近赤外光で植物の細胞核を見る技術 ~遺伝子操作なしで解析、農作物への応用も期待~

    • URL

      https://www.itbm.nagoya-u.ac.jp/en/research/2024/03/post-72.php

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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