研究課題/領域番号 |
22K15146
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小田原 瑛美子 (養老瑛美子) 立教大学, 理学部, 助教 (40802054)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 生殖器官 / コケ植物 / 雌雄決定 / ヒメツリガネゴケ / 転写因子 / RKD |
研究開始時の研究の概要 |
植物は、動物とは異なる多様な性表現を示す。少なくとも被子植物では、性起源は両性花を着生する両全性とされ、限られた雌雄異株性の数種で性決定遺伝子が同定されている。一方、コケ植物では被子植物に比べて雌雄異株の種が多く、雌雄異株を起源として雌雄同株化が後で生じた可能性が高い。雌雄同株で、尚且つ、同一茎頂に雌雄両方の生殖器官を形成するヒメツリガネゴケにおいて、生殖器官の雌雄の運命決定機構の大部分は未解明である。研究代表者は既に、ヒメツリガネゴケ生殖器官の雌化のマスター因子を見出した。本研究では、この雌化のマスター因子の機能を足がかりとして、ヒメツリガネゴケの生殖器官の雌雄決定機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
植物は、動物とは異なる多様な性表現を示す。少なくとも被子植物では、性起源は両性花を着生する両全性とされ、限られた雌雄異株性の数種で性決定遺伝子が同定されていたが、コケ植物では被子植物に比べて雌雄異株の種が多く、性決定については雌雄異株のゼニゴケにおいてのみ同定されている。雌雄同株で、尚且つ、同一茎頂に雌雄両方の生殖器官を形成するヒメツリガネゴケにおいて、生殖器官の雌雄の運命決定機構の大部分は未解明である。研究代表者は既に、ヒメツリガネゴケ生殖器官の雌化のマスター因子を見出した。本研究では、この雌化のマスター因子の機能を足がかりとして、ヒメツリガネゴケの生殖器官の雌雄決定機構の解明を目指してきた。 一年目は、雌化のマスター因子の終止コドン直前にレポーター遺伝子をノックインした株で、雌の生殖器官特異的な発現パターンを明らかにした。また、カルコフロー染色および透明化により、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、発生初期から細胞系譜の観察手法を確立した。二年目は、雌化マスター因子の過剰発現により、本来雄の生殖器官ができる位置に雌の生殖器官が発生することを定量的に解析した。加えて、雌化マスター因子の過剰発現に発生する生殖器官を、共焦点レーザー顕微鏡によって観察し、雄の生殖器官原基が雌の運命へと転換していることを、頂端幹細胞の分裂パターンの違いを詳細に観察することで解明した。さらに、進化的な機能の保存性について検証するため、種々のコケ植物や、ストレプト藻類の相同遺伝子のcDNAをクローニングし、ヒメツリガネゴケの変異株に導入し、コケ植物のみならずストレプト藻類の相同遺伝子も部分的に雌化マスター遺伝子として機能することがわかった。RNAシークエンス解析により同定した発現変動遺伝子のうち、雌化に関与する直接の下流遺伝子の絞り込みをおこなっており、細胞分裂パターンとの関連を解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
雌化のマスター因子のレポーター遺伝子ノックイン株の形質転換および選抜、発現パターンの解析も順調に進んでいる。生殖器官の共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察手法についても確立した。雌化のマスター因子の変異株や、異所的発現株のRNAシークエンスも実施し、マスター因子により制御される遺伝子候補のリストを得た。二年目は、下流候補遺伝子のシス領域のクローニングに着手しており、概ね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
二年目に、進化的な機能の保存性の検証を進めた結果、ストレプト藻類の相同遺伝子がヒメツリガネゴケにおいて、部分的に雌化マスター遺伝子として機能を有することがわかったので、系統解析を進めるとともに、保存されている雌化マスターの重要なドメインの探索を進める。さらに、一年目に得られた、RNAシークエンス解析の発現変動遺伝子のうち、直接の下流候補遺伝子候補を絞り込んでおり、ルシフェラーゼアッセイを行い、実際に下流遺伝子のcisに結合して発現制御しているか、の実験的検証を進めていく。
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