研究課題/領域番号 |
22K15147
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
元村 一基 立命館大学, 生命科学部, 助教 (50844049)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 花粉管 / MGU / 細胞骨格 / シロイヌナズナ / 受精 / 生殖 / 細胞生物学 / 雄性生殖単位 / ライブイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
被子植物の受精では、生殖細胞である"精細胞"が花粉管の核である"栄養核"と"雄性生殖単位"と呼ばれる複合体をつくり、花粉管を通って卵細胞まで辿り着く。我々の研究から、精細胞は独自の輸送駆動力を保持し、栄養核と協調的に雄性生殖単位輸送を制御するという、定説を覆す受精様式がみえてきた。そこで本研究ではこの知見を基盤に、MGU輸送の真なる制御機構に迫る。
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研究実績の概要 |
被子植物の受精過程では、生殖細胞である"精細胞"が花粉管の核である"栄養核"と"雄性生殖単位"と呼ばれる複合体をつくり、花粉管を通って卵細胞まで辿り着く。我々の研究から、精細胞は栄養核とは独立した輸送駆動力を保持し、栄養核と協調的に雄性生殖単位輸送を制御するという、定説を覆す受精様式がみえてきた。そこで本研究ではこの知見を基盤に、MGU輸送の真なる制御機構を明らかにすることを目指している。 研究2年目となる本年度も、引き続き花粉管内での精細胞と栄養核の複合体輸送メカニズムに関して研究を進めた。具体的には、この複合体がどのようにして花粉管の先端に向かって効率的に輸送されるかの分子基盤を明らかにするために、微小管の役割を中心に研究を行った。この過程で、微小管タンパク質やキネシンのミュータントの表現型解析によって、微小管が精細胞と栄養核の位置決めに極めて重要であることが示唆された。 具体的には、微小管を不安定化させるキネシンであるキネシンの機能を抑制することで、精細胞―栄養核複合体の位置が前方へとシフトする現象を発見した。一方、微小管の変異体を用いた実験からは、微小管のダイナミクスが花粉管の成長と複合体の安定的な位置決めに不可欠であることが示された。 これらの研究成果は、我々が以前に提案した花粉管内での「精細胞―栄養核複合体」の独立した運動力に基づく理論を裏付けるものであり、植物の受精機構における微小管の役割についての理解を深める発見であったと考えている。これらの研究は論文にまとめ、プレプリントとしてbioRxiv誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度において確立した基本的な実験手法や遺伝子解析の枠組みを基に、2年目では特に微小管の役割に注目し、精細胞と栄養核の動態を詳細に調べた。微小管を不安定化するキネシンや微小管の変異体解析により、精細胞と栄養核の位置が花粉管の成長方向において前方へとシフトする現象を新たに発見し、この現象が受精成功率に直接的な影響を及ぼすことを明らかにした。 さらに、微小管の変異体を用いた実験では、微小管のダイナミクスが花粉管の成長と複合体の位置決めに不可欠であることが示された。これらの結果は、花粉管内での精細胞―栄養核複合体の位置決め機構が以前に想定されていたよりもはるかに複雑であることを示しており、微小管がこれらのプロセスを制御する上で中心的な役割を担っていることを示唆している。これらの成果は、プレプリントとしてbioRxiv誌に発表され、国際的な評価を受けている。 以上の成果から、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進としては、これまでの研究成果をさらに深堀することが必要である。具体的には、現在のプレプリントとして発表されている研究成果をさらに詳細に検証し、データを補強する実験を行う。これにより、データの信頼性を高め、原著論文としての質を向上させる。次に、これらの成果を原著論文として国際的な学術誌に投稿する計画である。特に、植物生物学の分野で影響力のあるジャーナルを目指し、研究の国際的な認知と影響を拡大したい。 さらに、今後の研究では、精細胞―栄養核複合体の輸送に影響を与える他の分子的要因にも焦点を当て、輸送メカニズムの全体像をより詳細に解明する。これには、新たな遺伝子編集技術を用いた変異体の作出や、最先端のイメージング技術を活用した観察を予定している。 これらの研究推進方策を通じて、花粉管内での“精細胞―栄養核複合体”の正確な位置決めとその制御機構の解明を目指し、植物の受精機構における基本的な疑問に答えることを目指している。
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