研究課題/領域番号 |
22K15156
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
千葉 彩乃 山形大学, 医学部, 講師 (10794159)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | WNT/βカテニン / 冠血管 / ゼブラフィッシュ / 動脈化 / Wnt/β-catenin / zonation / development |
研究開始時の研究の概要 |
心臓は多様な心筋細胞から構成されることが明らかになってきたが、それぞれの心筋細胞集団の機能は不明な点が多い。申請者は、心房と心室の間の房室管領域に存在するWnt/βカテニンシグナルを活性化した心筋細胞(βcat (+) CMs)が、冠血管形成を調節するのではないかと考えた。本研究では、ゼブラフィッシュをモデル動物として使用し、βcat (+) CMsが冠血管形成を調節するメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
私たちは、これまでに、WNT/βカテニンシグナルを可視化するゼブラフィッシュ系統を樹立し、心房と心室をつなぐ房室管領域にWNT/βカテニンシグナルを持続的に活性化する心筋細胞 (βcat ON心筋) が局在することを見出した。ゼブラフィッシュの冠血管は房室管の心内膜の内皮細胞から形成されており、私たちは、βcat ON心筋が冠血管形成に必要であることを見出した。本研究の目的は、βcat ON心筋による部位特異的な冠血管形成機構を明らかにすることで、「なぜ房室管から冠血管が形成されるのか」を明らかにすることである。 はじめに、βcat ON心筋特異的な細胞死によって冠血管形成が抑制される理由を明らかにするため、βcat ON心筋の細胞死を誘導した際の冠血管内皮細胞の増殖や遊走を詳細に観察した。その結果、βcat ON心筋の細胞死は、冠血管内皮のEdU取り込み量や細胞数に影響を与えずに、冠血管の覆う面積と冠血管の長さを減少させた。このことから、βcat ON心筋は冠血管内皮細胞の増殖ではなく遊走を制御することが明らかになった。 また、βcat ON心筋がどのような因子を分泌して冠血管内皮細胞の遊走を調節するのかを明らかにするために、βcat ON心筋と形成初期の冠血管内皮細胞を含む、生後1ヵ月齢の房室管の細胞のシングルセルRNA-Seq解析を行った。その結果、βcat ON心筋でSemaphorinやfibroblast growth factorが発現しており、内皮細胞にその受容体が発現することが明らかになった。これらのシグナルを介して冠血管内皮細胞の遊走を制御する可能性が示唆された。 これまでの結果より、βcat ON心筋による冠血管形成の調節機構が明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
山形大学に異動したことで、国立循環器病研究センターの顕微鏡やゼブラフィッシュを使用する機会が限定された。また、シングルセルRNA-Seqの解析に、想定以上に時間がかかった。これらの理由により、当初は研究内容を論文として発表済みの予定であったものの、いまだアクセプトに至っていない。そのため、予定より遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果より、シングルセル解析や、冠血管形成の詳細な解析によって、βcat ON心筋による冠血管形成の促進にsemaphorinやfibroblast growth factorが関与する可能性が示唆された。そこで、それらのシグナルを介して冠血管が形成されるのかを明らかにするために、冠血管形成を開始する1ヵ月齢の個体に阻害薬を処理して、冠血管形成が抑制されるか検証する。
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