研究課題/領域番号 |
22K15181
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
|
研究機関 | 千葉大学 (2023) 藤田医科大学 (2022) |
研究代表者 |
佐藤 大気 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (50912060)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | ショウジョウバエ / トラッキング / 恐怖刺激 / 逆強化学習 / 集団行動 / 恐怖反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、視覚的な恐怖刺激を与えた際のキイロショウジョウバエの群れ行動から、逆強化学習を利用した報酬推定を行なうことで、恐怖刺激に晒された個体が周囲の他個体の存在に対してどのような価値判断を行なうのか、情動処理における個体と集団の双方向的フィードバックを明らかにする。また、多数の近交系統を用いて価値関数を比較するとともに、各系統のゲノム配列データを用いてゲノムワイド関連解析を行なうことで、集団形成の意思決定に関わる遺伝的基盤を解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、①視覚的な恐怖刺激を与えた際のキイロショウジョウバエの群れ行動をトラッキングした上で、②逆強化学習を利用した報酬推定を行なうことで、恐怖刺激に晒された個体が周囲の他個体の存在に対してどのような価値判断を行なうのか、情動処理における個体と集団の双方向的フィードバックを明らかにする。また、③多数の近交系統を用いて価値関数を比較するとともに、各系統のゲノム配列データを用いてゲノムワイド関連解析を行なうことで、集団形成の意思決定に関わる遺伝的基盤を解明する。 本年度は、昨年度得たショウジョウバエの行動データについて、上記②マルチエージェント逆強化学習の実装に向けて、まず単独条件におけるトラッキングデータを用いて、個体の向きと速度という2パラメータについて状態空間を定義し、Maximum Entropy IRLを用いた逆強化学習を行なった。各個体・パラメータ空間について推定された報酬価に対して恐怖刺激の前後で差分を取り、主成分分析を行うことで、刺激に対する反応のパターンを定量した。するとPC1は概ね硬直・逃避行動を表し、PC2は刺激に対する体の向きを表した。各系統について、主成分スコアを表現型と定義し、分散分析により遺伝率を推定したところ、PCは64%と比較的高い値を示し、また独立に実験を行なっている雌雄間の表現型にも強い相関が見られたことから、遺伝的な基盤が想定された。そこで、次にゲノムワイド関連解析を行なったところ、神経機能に関わる遺伝子が数多く検出され、行動戦略に関わる興味深い候補遺伝子座を検出できたと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、単独の個体における行動形質のパラメータ推定およびゲノムワイド関連解析は概ね成功している。本研究の核であるマルチエージェント系への拡張についても、トライアルを重ねており、来年度中に完成できると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、集団条件のトラッキングデータに対して、他個体の存在(他個体との平均距離や向き)をパラメータに組み込み、同時的に複数個体で報酬推定を行ない、マルチエージェント逆強化学習による行動の動機推定を目指す。
|