研究課題/領域番号 |
22K15187
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
村上 匠 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 特任研究員 (00806432)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 氷河生態系 / クリオコナイト / メタゲノム / 立山 / 細菌群集 / 環境微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
世界各地の氷河には微生物を中心とする生態系が存在するが、構成微生物の種類や生態、地域間差異に関しては不明な点が多い。これは国内の氷河に関しても同様である。本課題では日本に現存する氷河を拠点に据え、継続的に収集した試料から微生物群集総体の遺伝情報を網羅的に取得することで、生息する微生物の系統的多様性や代謝能を詳細に解析し、国内氷河生態系の構造解明を目指す。さらに、我々がこれまで収集してきた世界各地の氷河微生物群集データと比較することによって、日本と世界の氷河生態系構造の共通点・相違点を明確にし、氷河生態系の地球規模での多様性を検証する。
|
研究実績の概要 |
氷河表面の雪氷上には様々な微生物や小動物が生息している。こうした氷河生物の活動が流域の物質循環や氷河の融解と密接に関連していることが明らかとなってきており、気候変動が氷河生態系の構造にどのような影響を与えるのか注目が集まっている。一方で、氷河微生物の多様性や生態に関しては未だ不明な点が多く残されている。特に、極域以外の地域の氷河生態系に関しては情報が不足している。本課題では、国内に現存する氷河に着目し、表面に生息する微生物、特に細菌群集のメタゲノムを継続的に収集・解析することを目標としている。そうした集中的かつ大規模な解析を行うことで、氷河細菌群集の系統組成や代謝能の詳細を把握し、従来調査の及んで来なかった日本の氷河生態系の詳細解明を目指す。さらに、これまで公開された海外氷河メタゲノムデータと統合した比較解析を行うことによって。日本を含めた世界各地の氷河細菌群集構造の相違点を詳らかにし、氷河生態系の地球規模での多様性を明らかにする予定である。 2022年度は、富山県立山の氷河にて8月と10月の2回の雪氷試料採集を実施した。現在、これら試料について核酸試料を調製し、配列解析に向けて準備している。一方、世界各地の氷河メタゲノムデータ解析については、2022年度に海外のチームから報告されたデータセットを加えた統合解析を実施した。その結果、極域やアジア内陸部など様々な地域の氷河細菌群集について、系統組成や保有する遺伝子、メタゲノム配列から再構築された各細菌種のドラフトゲノム情報など、今後比較解析を進めていく上で基盤となるデータを作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
富山県立山での調査は、当初予定していた通り年複数回実施し、微生物群集解析に必要な試料を得た。また、世界各地の比較氷河メタゲノム解析に関しても、2022年に公開された新たなデータを加えた配列処理解析を遂行し、世界各地の氷河細菌群集の系統組成や保有する代謝能についての詳細を把握する上で基盤となるデータセットを作成した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続き立山での野外調査、試料収集を実施する予定である。そして、2022年度に収集した試料と合わせてシークエンシングを行い、配列解析を実施する。一方、世界各地のメタゲノムデータについてもより詳細な比較解析や、各細菌種のゲノム情報の解析を推進する。海外氷河のメタゲノムデータについては、自らの海外調査によって新たなデータポイントを加えることも検討している。
|