研究課題/領域番号 |
22K15196
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩田 卓 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80855883)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 視覚臨界期 / 分子モーター / 応答性 / 方位選択性 / グルタミン酸受容体 / Caイメージング / 樹状突起 / 細胞内輸送系 / カルシウムイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
マウス視覚野には臨界期と呼ばれる可塑性が一過的に高まる時期が存在するが、この期間における神経突起内の分子メカニズムの詳細についてはいまだ不明な部分が多い。この臨界期中において暗黒飼育をマウスに施すと、神経伝達物質受容体を樹状突起内で輸送するキネシン分子モーターの発現量に著しい変化が見られることが予備実験において発見された。そこで本研究では視覚臨界期における分子モーターの機能を解明するため、二光子顕微鏡を用いたカルシウムイメージングによって解析を行う。本研究は視覚機能発達の基盤となる分子機構をより正確に理解できると同時に、成熟した脳における視覚機能発達障害の治療法創出への貢献が期待される。
|
研究成果の概要 |
視覚臨界期における神経突起内の分子メカニズムの詳細についてはいまだ不明な部分が多い。そこで本研究では、視覚臨界期における分子モーターKIF5Aの機能を解明するため、ウイルスを用いて視覚野特異的な遺伝子操作を施したマウスにおいて、ニューロンの応答性及び方位選択性についてのCaイメージング解析を行った。するとKIF5Aのノックアウトと強制発現はそれぞれ視覚刺激に対する応答性を減弱及び回復させたが、ノックアウト及び強制発現された細胞はどちらも同一視覚野内のWT細胞に比べてその方位選択性を減弱させた。したがって視覚臨界期における方位選択性の維持に突起内分子機構が重要な役割を担っていることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトやマウスの視覚野には発達期において臨界期と呼ばれる神経可塑性が一過的に高まる時期が存在し、この時期に正常な神経活動を得られなかった視覚野はうまく機能せず、臨界期を過ぎてしまうと元に戻すことができない。この時期において、神経細胞の生存・機能維持・可塑性に重要な役割をしている分子モーターによる分子機構がどのように関わっているかを調べたことで、本研究はこれまで未知であった神経回路網内の神経突起内メカニズムの解明に寄与する成果を得た。これにより、視覚機能の正常な発達の基盤となる分子機構を理解できると同時に、成熟した脳における視覚機能発達障害の治療法創出に貢献することができると考えられる。
|