研究課題/領域番号 |
22K15203
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
吉永 怜史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10885875)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統合失調症 / 死後脳 / 空間トランスクリプトミクス / 単一細胞核RNAシークエンス / 組織構築 / トランスクリプトーム解析 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症などの精神疾患は、未だ病態形成の全容が不明である。筆者は脳発生異常を反映した組織学的・分子的異常が精神神経疾患の病態形成に関与すると仮説を立てた。本研究では、最先端の単一細胞/空間的遺伝子発現解析技術で患者死後脳を解析し、主要所見を組織学的に確認し、さらにゲノム編集技術や子宮内電気穿孔法による動物モデルで死後脳所見と症状の因果関係を確かめることで、細胞レベルで精神疾患の病態に迫ろうとする。
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研究実績の概要 |
福島県立医大ブレインバンクから供与された統合失調症患者脳と対照脳(新鮮凍結サンプル)において、単一細胞核解析(single nucleus RNA sequencingについては患者脳と対照群2例ずつ、ATAC-seq + single nucleus RNA sequencing 4例ずつ)と空間トランスクリプトミクス手法であるVisium (6例ずつ)の解析を行った。このうち、Visiumでは、single nucleus RNA sequencingとの統合的解析を行い、4例ずつで高い品質の結果が得られている。脳を構成する多様な細胞やその組織学を正確に検出できた。この解析から、統合失調症でとりわけ変化している細胞群を同定した。こうした細胞群で有意に発現変動している遺伝子や、その生物学的意義について、重層的な解析を進めている。こうした空間的トランスクリプトミクスの所見は、免疫組織化学とRNA蛍光in situ hybridizationを用いて組織学的にその妥当性の検証を開始しており、これまでに行った検証では実際に所見が支持されたほか、その形態学的解析から新しい視点が得られており、さらにサンプル数を増やして検証を進めたい。また、プレリミナリな取り組みとして、この中で興味深いと考えられた1遺伝子について、ゲノム編集技術を用いてノックアウトマウスを作製した。 いっぽう、これまでにブレインバンクから供与されたホルマリン固定パラフィンサンプル3例ずつについて、空間トランスクリプトミクス手法であるGeoMx Human Whole Transcriptome Atlasによるニューロンの発現解析を行い、その結果の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間的トランスクリプトミクスの解析を開始し、その情報学的解析を深めているところである。マウス研究についても少しずつ始めることができている。いっぽう、単一細胞核ATACシークエンスに供したサンプルは、細胞集団としてバランスのとれた核の調整が難航している。
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今後の研究の推進方策 |
空間的トランスクリプトミクスの解析をさらに進め、その生物学的な議論も深めていく。単一細胞核ATACシークエンスについても条件検討や実験のやり直しを進めているところである。これらの結果を踏まえ、さらに動物モデルの検討や作製をすすめ、組織学的解析や行動実験についても開始していきたい。
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