研究課題/領域番号 |
22K15206
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
古賀 啓祐 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50835189)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 痛み / 脊髄 / 青斑核 / ノルアドレナリン / 吻側延髄腹内側部 / 下行性疼痛制御 / 下行性抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
痛みは外傷や刺激により引き起こされ、生体の警告系として重要な役割を果たすが、過度な痛みや慢性痛は患者のQOLを著しく下げるため、適切なコントロールが必要である。痛みの調節には脳内で痛み強度を調節する内因性疼痛制御系が関与しており、青斑核や吻側延髄腹内側部といった神経核は、痛みの入り口である脊髄へ脳から下行性に投射して痛みのコントロールに重要な役割を果たす。しかしながら、これらの下行性神経核の相互連関については不明な点が多い。本研究では、上記2つの下行性神経核の相互作用とそのメカニズムの解明を目的とする。さらに下行性疼痛抑制系を利用した画期的な鎮痛薬や慢性疼痛の治療戦略の開発に繋がる知見を得る。
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研究成果の概要 |
本研究では、吻側延髄腹内側部神経と青斑核の2つの下行性神経核の相互作用と受容体機構の解明を目的として研究を行った。青斑核神経は吻側延髄腹内側部に強い投射をもち、この神経回路を特異的に活性化させると熱刺激に対する鎮痛効果が得られた。さらに、この神経機構を検討する目的で、脊髄に投射する吻側延髄腹内側部神経からパッチクランプ記録を行ったところ、ノルアドレナリン処置により同神経が強い興奮を示すことが明らかとなった。さらに、薬理学的な検討から上記神経応答に関与する受容体を特定した。本研究で見出した神経回路の内因性の疼痛制御における役割の詳細の解明により、新しい鎮痛薬開発の足がかりとなると考えている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳幹背側部に位置するノルアドレナリン(NA)神経核のLCは、脊髄を含む様々な脳領域に投射し、覚醒や注意・意識・認知などの生理機能と疼痛の制御に関与する。近年、疼痛制御におけるLC神経の脊髄や前頭前皮質への神経投射特異的な役割が報告された。しかし、LC神経は下行性神経核である吻側延髄腹内側部(RVM)にも投射するがその疼痛制御における役割は解明されておらず、2つの下行性神経核の相互作用機序は依然として不明である。本研究は回路特異的な神経活動操作法によりLC→RVM神経回路の疼痛制御における役割を明らかにする研究であり、下行性疼痛制御回路を利用した新規の鎮痛薬の開発に繋がることが期待される。
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