研究課題/領域番号 |
22K15210
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
塚本 聡美 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員 (10929847)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 神経幹細胞 / 遺伝子振動発現 / 神経・脳発生 / 細胞間コミュニケーション / 振動発現 / 非同期性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「神経幹細胞間におけるHes1振動の非同期性」に着目し、細胞間の振動のばらつきをもたらす遺伝子群の抽出を目指す。具体的には、Hes1蛍光レポーターを導入したマウスES細胞を用いて、Hes1の振動発現を観察できる、in vitro神経幹細胞分化系・神経管オルガノイドを構築する。作成したin vitro観察系に対し、光遺伝学的ツールを用いて、Hes1の人工的な同期的振動をもたらし、神経発生にどのようなシグナル伝達系に影響を与えるかをRNA-seqを用いて調べる。一連の解析から、「神経幹細胞における遺伝子発現振動のばらつきが脳発生にもたらす影響」を明らかする。
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研究実績の概要 |
転写因子Hes1は、神経幹細胞において、2-3時間周期で振動的に発現し、この振動的発現は、細胞間で非同期的であることが知られる。Hes1の非同期的発現は現象として興味深い一方で、その細胞ごとに固有な振動は、長年、下流遺伝子の探索を困難としてきた。本研究は、「神経幹細胞におけるHes1振動発現の非同期性」に関わる新規遺伝子の抽出とその意義を探るべく実施しているものである。 今年度は、培養神経幹細胞において、光遺伝学的ツール(hGAVPO-Hes1)を用いてHes1遺伝子の同期的な振動発現を誘導し、RNA-seq解析を実施した。その結果、Hes1依存的に発現が変化する候補遺伝子群が抽出された。その中には、細胞間コミュニケーション関連(細胞間シグナル伝達関連因子、細胞接着因子等)の新規遺伝子群が、多数含まれていることがわかった。よって、これらの遺伝子が、Hes1の下流で機能し、神経幹細胞における細胞間連絡の時間的な制御を行なっている可能性が示唆された。 今後は、今年度抽出された遺伝子群の遺伝子改変細胞株(神経幹細胞やマウスES細胞など)を作成し、新規因子が、Hes1の非同期的振動や神経幹細胞の機能に、どのような影響を与えるかを検証する。それにより、Hes1の非同期的振動の神経・脳発生における意義に迫る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養神経幹細胞において、光遺伝学的ツール(hGAVPO-Hes1)を用いてHes1遺伝子の発現を誘導し、RNA-seq解析を実施した。まず、hGAVPO-Hes1を導入した培養神経幹細胞にて、Hes1の誘導がされていることを、qPCR、ウエスタンブロッティングにより確認した。その後、同一条件で、サンプリングしたRNAサンプルについてRNA-seq解析を行なった。その結果、Hes1の遺伝子発現の下流での機能が示唆される、細胞間コミュニケーション関連の新規遺伝子群が、多数抽出された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度同定された因子が、実際に神経幹細胞のHes1依存的な細胞間連絡において機能するかを検証する。具体的には、Hes1レポーターをもつ遺伝子改変神経幹細胞株等を作成し、新規遺伝子がHes1の非同期的振動や神経幹細胞の機能にどのような影響を与えるかを検証する。
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