研究課題/領域番号 |
22K15215
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
阿部 欣史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80802826)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | L-DOPA誘導性ジスキネジア / 遅発性ジスキネジア / GABA / VGAT / 線条体 / 淡蒼球 / 黒質 / L-DOPA誘導性ジスキネジ / 遅発性ジスキ ネジア / 脳体積 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病治療薬(L-DOPA)の長期服用によって起こるL-DOPA誘導性ジスキネジア(LID)と抗精神病薬の長期服用によって起こる遅発性ジスキネジア(TD)には、GABAを介した共通する分子メカニズムがあるのではないかと考えている。本研究はこの仮説を検証する事を目的とする。この研究から、GABAがパーキンソン病治療薬や抗精神病薬の長期服用によって起こるジスキネジアを抑える標的分子となるではないかと期待できる。
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研究実績の概要 |
パーキンソン病治療薬(L-DOPA)の長期服用によって起こるL-DOPA誘導性ジスキネジア(LID)と抗精神病薬の長期服用によって起こる遅発性ジスキネジア(TD)には、GABAを介した共通する分子メカニズムがあるのではないかと考えている。本研究はこの仮説を検証する事を目的とする。この研究から、GABAがパーキンソン病治療薬や抗精神病薬の長期服用によって起こるジスキネジアを抑える標的分子となるではないかと期待できる。始めにGABA量自体が増えているのか、LIDとTDモデルマウスを作成し、質量分析イメージング法を用いて調べた結果、淡蒼球と黒質においてGABA量が増加している事が分かった。さらに超解像顕微鏡を用いて、GABA小胞トランスポーター(VGAT)陽性の線条体神経細胞のターミナルを観察したところ、VGAT陽性のターミナルが肥大化している事が分かった。VGAT陽性のターミナルの肥大化とGABA量増加はLIDとTDに共通して起こっていた。次に、VGATの過剰発現がターミナルの肥大化とGABA量の増加と因果関係があるのかを調べるために、野生型マウスの線条体神経細胞に、AAVを用いてVGATの過剰発現系を導入した。その結果、VGATを過剰発現させることで線条体神経細胞のターミナルは肥大化し、GABA量が増加する事が分かった。さらにVGATの過剰発現によってそれぞれのジスキネジアが悪化する事も分かった。これらの結果から、LIDとTDでは線条体ターミナルでVGATが過剰発現する事でGABAが増加し、ジスキネジアが起こっている事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LIDやTDに共通する分子メカニズムを探るため、VGATに着目し、VGTAの発現量を増やす事でジスキネジアの悪化や、ジスキネジア病態(ターミナルの肥大化やGABA量の増加)を再現する事が出来た。これにより、LIDとTDにはVGATを介してGABA量を制御し、ジスキネジア発症に関与している事が示唆できる結果を得られたため、当初の研究目的通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
VGATの抑制系を導入し、LIDとTDやその病態を軽減する事が出来るのかを調べ、VGATとジスキネジアの病態や発症メカニズムを明らかにしていく。また、VGATが増加し、GABAが増加した事で、GABAによる神経活動の抑制も増強されているのかを調べ、ジスキネジアに関係する脳内ネットワーク変化を明らかにしていく。
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