研究課題/領域番号 |
22K15219
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD) (10919137)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | OPN4 / メラノプシン / オプシン4 / オプトジェネティクス / Qニューロン / 冬眠様状態 / 低体温 / 心臓血管系 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは近年、マウスを冬眠様状態(QIH)に誘導する神経経路を同定した。時間分解能の観点から、より自在に誘導可能なQIHを実現するために、本研究では光高感受性オプシンを用いた『長期間刺激が可能な微弱光によるQIH誘導法の開発』を目指す。加えて、QIHと冬眠の類似性をさらに明確に解析するため、冬眠における特徴の1つである「体温変化とは独立した心臓血管系の制御」に着目し、光操作型QIHにおける血圧・心拍数・体温を同時計測する。新規光操作ツールの創出、および心臓血管系制御に着目した冬眠との類似性評価を行い、より自然の冬眠に近い低代謝誘導法を確立させる。
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研究実績の概要 |
本研究の主要な目的は『ON-OFFが明瞭なQIH誘導技術の確立』である。冬眠は少なくとも24時間に及ぶ長期的現象であり、長期間低代謝の光誘導法は冬眠メカニズム解明にも不可欠な実験手技となり得る。前年度の研究進捗おいて、『微弱光を用いた長期(24時間)光操作による冬眠様低代謝状態QIH(OPN4-QIH)誘導法』の確立に成功した。当該年度は、冬眠とQIHのより強い類似性を実証することを目的とし、確立したOPN4-QIHにおける血圧・心拍数の動態を観測した。マウスの総頸動脈圧測定のために送信機のカテーテルを片側総頸動脈に留置した。送信機本体は深部体温測定のために腹腔内に留置した。既に報告されている冬眠中の冬眠動物における挙動とも比較し、QIHと冬眠との類似性を客観的に評価した。 実験結果として、QIHの開始では血圧と心拍数の同時低下が急速に生じ、その後体温が徐々に低下することが判明した。体温の低下は血圧と心拍数の低下よりも遅い速度で起こり、血圧が最も大幅に低下した。 光照射時間が経過するにつれ、体温は最低値 (25~26°C) に達したが、血圧は徐々に上昇した。一方、心拍数は低く安定したままとなった。QIH からの覚醒段階では、体温の上昇は血圧と心拍数の上昇より大幅に遅れた。これらのQIH中の「血圧-心拍数-体温」の時系列的な特徴は、シリアンハムスターの冬眠中に報告されている現象によく似ていた。このことから、QIHはこれらの生理学的変化の時間的パターンという観点からも自然な冬眠と類似していることが示された。本研究によって、冬眠のような状態のマウスモデルにおいて血圧、心拍数、体温を初めて連続的に測定された。
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