研究課題/領域番号 |
22K15229
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
杉村 岳俊 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60812526)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | カハール間質核 / 前庭小脳 / 舌下神経前位核 / 内側前庭神経核 / 狂犬病ウイルス / 片葉 / 虫部垂 / 小節 / 神経積分器 / 視線保持 / 視線制御 |
研究開始時の研究の概要 |
視線の保持には脳幹の神経積分器が関与し、神経積分器と前庭小脳との神経回路がその機能に重要である。水平系の神経積分器である舌下神経前位核から前庭小脳へは直接投射していることが明らかにされているが、垂直系の神経積分器であるカハール間質核からの投射経路は調べられていない。本研究では、カハール間質核と前庭小脳との神経経路に関する解剖学的な知見を明らかにすることで、視線保持のメカニズム解明に迫ることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
視線保持は明瞭な視覚を得るために重要である。しかし、カハール間質核(INC)と前庭小脳(VC)との神経接続に関する知見が限られているため、垂直方向の視線保持のメカニズムは完全には解明されていない。そこで本研究は、INCとVCとの神経接続を明らかにすることを目指している。昨年度の研究成果から、INCからVCへの神経経路(INC- VC経路)は舌下神経前位核(PHN)や内側前庭神経核(MVN)とのシナプス接続を介して間接的に投射することを示すデータを得ている。本年度は最初にトランスシナプス標識法により遺伝子改変狂犬病ウイルス(EnvA-RVdG-RFP)に感染したRFP発現ニューロンの解釈を正確に行うためにコントロール実験を行った。狂犬病ウイルスの糖タンパク質を発現するAAV2retroウイルスを除き、TVAとGFPを発現するAAV2retroウイルスのみをラットの小脳虫部垂・小節に注入し、3週間後にEnvA-RVdG-RFPを同じラットのPHNとMVNに注入した。トランスシナプス感染を防いだ状態でのEnvA-RVdG-RFPの感染を調べた結果、RFPの発現はGFPを発現するニューロンに限定された。従って、RFP発現ニューロンは、蛍光では検出できない低レベルでTVAを発現するスターターセルではなく、スターターセルからのトランスシナプス感染の結果であることが示された。次に、昨年度我々がトランスシナプス標識法により発見したINC-小脳片葉経路の詳細を調べた。その結果、INCのニューロンは両側のPHNとMVNとのシナプス接続を介して小脳の片葉に投射することが判明した。本研究成果であるINCからVCへの新たな間接経路の発見は、垂直方向の視線保持を担うネットワーク機構を理解するための指針を提供する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度において、カハール間質核から前庭小脳への新たな間接経路の発見に関するデータをさらに取得することができた。この研究成果を基に、論文の作成と投稿に向けた準備を着実に進めることができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
我々は最近、小脳半球または虫部に投射するラット舌下神経前位核のニューロンがクラスターを形成し特定の領域に局在していることを報告した(Sugimura and Saito, JCN, 2021)。これらのニューロンの電気生理学的および形態学的特性を明らかにする。
|