研究課題/領域番号 |
22K15253
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
傳田 将也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (00813891)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ペプチド環化反応 / ADC / ラクトンペプチド / Native Chemical Ligation / O-アシルイソペプチド / 抗体薬物複合体 / ペプチド / 抗がん剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、抗体-薬物 (抗がん剤) 複合体 (ADC) の最大の問題点である、抗がん剤の非特異的放出に伴う全身性の副作用発現の抑制を目的として、がん細胞内選択的に活性型抗がん剤を放出するシステムの構築を目指す。本システム構築に向け、ペプチド性抗がん剤に着目し、ペプチドの環化反応による活性化をトリガーとして、抗体と抗がん剤を連結するリンカー分子の切断を惹起するシステムを構築する。リンカー分子には、我々が開発した酸性条件下N-Sアシル基転移反応にチオエステル型に活性化するSECmideを利用し、がん細胞エンドソーム内でチオエステルを介して環状ペプチド性抗がん剤を放出するシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
当該年度、本研究では「ペプチド環化反応をトリガーとした抗がん剤放出システム」の開発を指向し、本システム構築に必須となるビルディング分子合成法の最適化を行った。本システムでは、がん細胞エンドソーム内の還元的かつ弱酸性条件に着目し、還元条件によるリンカー分子上の保護基の除去と続く酸性条件下でのN-Sアシル基転移反応によりアミド型からチオエステル型へ変化するリンカー分子と、生成するチオエステルとの連続する化学選択的分子内S-Sアシル基転移反応とS-Oアシル基転移反応によりラクトン構造を形成するチオール基導入型スレオニン誘導体が必須となる。そこで当該リンカー分子およびチオール基導入型スレオニン誘導体合成法の最適化に取り組み、これら分子を大量供給可能な体制を構築した。さらに分子内にチオール基導入型スレオニン誘導体とチオエステルを持つモデルペプチドを用いて、分子内の連続する化学選択的S-S、S-Oアシル基転移反応によるラクトンペプチド形成反応の最適化を行い、高選択的かつ高効率で反応が進行する条件を見出した。今後は、リンカー分子およびスレオニン誘導体を導入したモデルペプチドを用いて、エンドソーム内模倣条件下においてラクトン形成反応が進行することを確認後、抗体を用いた検討を進める計画である。 また我々は、モデルペプチドを用いた分子内ラクトン形成反応を基盤として、分子間でのS-Sアシル基転移反応と続くS-Oアシル基転移反応により二分子間でのスレオニン側鎖ヒドロキシル基アシル化法を見出した。これまでに効率的なペプチド中の位置選択的スレオニン側鎖アシル化法は存在しないことから、今後、本研究により見出された反応を最適化することで効率的なスレオニン側鎖O-アシルイソペプチド構築法へ発展させる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で開発を目指す「ペプチド環化反応をトリガーとした抗がん剤放出システム」に必要なビルディングブロックであるリンカー分子およびチオール導入型スレオニン誘導体合成法の最適化が完了し、これまでに大量供給可能な体制構築が完了している。そのため現在は、エンドソーム内の酸性かつ還元条件下においてスレオニン側鎖O-アシルイソペプチド化により抗がん活性を発現すると想定されるペプチド性抗がん剤前駆体の合成を開始していることから、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。またチオール導入スレオニン誘導体およびチオエステルを分子内に有するモデルペプチドを用いて連続する化学選択的分子内S-Sアシル基転移反応と続くS-Oアシル基転移反応による環状ペプチド構築条件の最適も完了している状況である。 さらに本研究の分子内ラクトンペプチド形成反応より着想を得た、分子間でのスレオニン側鎖O-アシル化法を新たに見出している。本法は、ペプチドチオエステルと分子内チオールを有するスレオニン含有ペプチドを利用した連続する化学選択的分子間S-Sアシル基転移反応と続く分子内S-Oアシル基転移反応によるスレオニン側鎖アシル化法である。本法を利用することでこれまで困難であったペプチド中の位置選択的スレオニン側鎖O-アシル化が可能となることからスレオニン側鎖修飾ペプチドの新規合成法の開発が可能になると考えており、更なる検討を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で構築を目指す「ペプチド環化反応をトリガーとした抗がん剤放出システム」に必須となるチオエステル前駆体であるリンカー分子およびチオール導入型スレオニン誘導体の大量供給体制は前年度までに構築済みであることから、本年度はこれら分子を導入したペプチド性抗がん剤前駆体の合成を最優先で行う。本ペプチド性抗がん剤前駆体の合成が完了後、エンドソーム内模倣条件下において本前駆体ペプチドの環化反応が進行するかを確認し、環化効率を算出する。本検討において環化効率が低い場合には、リンカー分子の最適化を行い、環化効率が高いリンカー分子を再設計する。またペプチド性抗がん剤前駆体の環化が確認された場合には、抗体分子への導入に向け、本前駆体ペプチドにブロモアセチル基を導入した誘導体合成を行う。その後、ブロモアセチル基を介してペプチド性抗がん剤前駆体ペプチドのHER2抗体であるトラスツヅマブへの導入について検討する。本ペプチド性抗がん剤導入トラスツヅマブ (antibody-drug conjugate (ADC)) の調製出来次第、HER2を発現する乳がん細胞を用いた本ADCの抗がん活性について評価する計画である。 また本研究で新たに見出した分子間でのスレオニン側鎖アシル化法では、本反応の最適を行う。最適化後は、タンパク質中のスレオニン側鎖ユビキチン化を合成標的として、ユビキチン修飾タンパク質の調製を行い、本反応の有用性を検証する計画である。
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