研究課題/領域番号 |
22K15257
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
|
研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
横尾 英知 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 研究員 (80881424)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | タンパク質分解剤 / PROTAC / ユビキチンリガーゼ / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
分解誘導剤であるPROTACやSNIPERは低い細胞膜透過性が課題となる。そこで本研究では、PROTAC開発において共通の化合物を用いるE3リガンドに膜透過性およびナノ粒子を形成機能を付与し、高い膜透過性を示すナノ粒子型PROTACを開発する。
|
研究実績の概要 |
タンパク質分解誘導剤PROTACやSNIPERは、標的タンパク質リガンドとユビキチンリガーゼ(E3)リガンドをリンカーを介して結合したキメラ分子であり、新たな創薬モダリティとして期待される。しかし、 細胞膜透過性が低いことが課題となる。細胞膜透過性の最適化には主にリンカー部位が修飾されるものの、標的タンパク質に応じて化合物毎に最適化する必要がある。また、リンカーを持たないPROTACが最も高い活性を示す場合があり、リンカー修飾が常に可能ではないことを見出している。残る修飾部位としてE3リガンドが挙げられるものの、PROTACに適用可能なE3が少ないため、構造や機能の多様性が十分とは言い難い。そこで本研究では、 PROTAC開発において共通性の高いE3リガンド部位に着目し、膜透過性を付与した細胞膜透過性E3リガンドを開発する。特に、本研究ではペプチド型のE3リガーゼリガンドに着目し、細胞膜透過性ペプチドとの組み合わせ等、相加的に機能を設計できる新規E3リガンドの開発を行った。今年度は、オリゴアルギニンを結合したE3リガーゼリガンドペプチドを設計、合成し、得られたペプチドの細胞膜透過性を検討した。その結果、基としたE3リガンドは細胞膜透過性が低い一方で、開発したE3リガンドペプチドはより高い膜透過性を示した。本研究により得られた知見はPROTACの開発に有用となりうる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、まず細胞膜透過性ペプチドを結合したE3リガーゼリガンドペプチドを設計し、PROTACを模倣したキメラ分子として小分子蛍光物質を標的タンパク質リガンド部位へ導入したペプチドを種々設計、合成した。さらに非天然アミノ酸であるa,a-二置換アミノ酸を導入したペプチドを合成し、得られたペプチドの細胞膜透過性を検討したところ、E3リガンドペプチドの膜透過性向上に成功した。他にも、膜透過性ペプチドの構造制御技術の開発に取り組み、2-アミノイソ酪酸(Aib)を導入したペプチドがa-ヘリックスを誘起し、デリバリーキャリアとして用いた際に有用であることを報告した。本研究により得られた知見はPROTACの開発に有用となりうる。
|
今後の研究の推進方策 |
得られたE3リガンドペプチドを用いてキメラ分子を設計、合成し、得られた化合物の分解活性を評価することで、分解誘導剤の開発を試みる。
|