研究課題/領域番号 |
22K15259
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
谷岡 卓 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (40846359)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 近赤外蛍光 / NIR-II / キサンテン色素 / 熱力学的安定 / 蛍光プローブ / 低分子量 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,波長 1000 nm ~ 1400 nm の第 2 近赤外光学窓領域で光吸収・蛍光を示す色素小分子(NIR-II 色素)をデザイン・創製し,蛍光プローブとして応用可能性を検討する。本研究の特徴は,申請者オリジナルの架橋キサンテン色素を分子デザイン・合成のプラットフォームとし,分子内の電荷を非局在化させることで,小さな分子サイズと熱力学的安定性を両立した新たな NIR-II 色素を創製することである。実験化学と計算化学を組み合わせた本研究は,小さな NIR-II 色素の設計指針の構築につながるとともに,医療・薬学分野および有機合成化学分野に資する機能性分子を提供する基盤研究となる。
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研究実績の概要 |
波長 1000 nm ~ 1400 nm の第 2 近赤外光学窓(NIR-II)領域は、生体組織による光の吸収や散乱、自家蛍光の影響が非常に少ないため、色素を利用した生体深部の蛍光イメージングに適しており近年注目されている。一方で、NIR-II 領域で光吸収や蛍光を示す NIR-II 色素は、大きな分子サイズや低い熱力学的安定性などの問題を有している。本研究は,申請者オリジナルの「架橋キサンテン色素」をプラットフォームとし、小さな分子サイズと熱力学的安定を両立した NIR-II 色素をデザイン・創製することを目的とする。そして、創出した色素の蛍光プローブとしての有用性を明らかにすることを2つ目の目的とする。 上記の研究目的を達成するため、昨年度は低分子量と熱力学的安定性を両立したNIR-II色素の創出に取り組んだ。以下に得られた3つの成果について示す。① まず、NIR-II 候補化合物の選定のため、フルオレセイン型、ロドール型、ローダミン型の架橋キサンテン系色素の合成に取り組んだ。その結果、いずれの架橋キサンテン色素誘導体の合成にも成功したことに加え、色素の精製方法を見直すことで、ワンポットでの合成方法を確立した。② 続いて、架橋キサンテン系色素の光物性検討を行った結果、フルオレセイン型色素が最も長波長の蛍光発光を示すことがわかった。さらに興味深いことに、ロドール型架橋キサンテン系色素の蛍光発光に対する溶媒効果を精査した結果、アミン部位に電子供与性アリール基を持つ誘導体において、無極性溶媒中でのみ選択的に発光を示す新奇現象を見出した。③ 架橋キサンテン系色素の熱力学的安定性に関する検討を行った結果、分子内の適切な位置に水酸基を有していることが、色素安定性を大幅に改善することがわかった。一方で、水酸基導入は蛍光波長も大きく変化させてしまうことも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、計画していた架橋キサンテン系色素の創出と、物性評価ができたことに加え、色素の熱力学的安定性を改善する置換基効果についても明らかにした。さらに架橋ロドールの「無極性選択蛍光」の発見により、架橋キサンテン系色素が蛍光プローブとしての利用にとどまらず、セキュリティインクや化学発光センサーとしての利用も可能であることがわかった。一方で、NIR-II領域の色素の安定性には改善の余地があり、本年度も継続的な色素改良が必要である。以上の点から、当初の計画通りの進捗状況であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は①架橋キサンテン系色素を分子プラットフォームとしたNIR-II色素の継続的開発、および②架橋キサンテン系色素の蛍光プローブとしての有用性の検証、の2点に重点を置いた研究を行う予定である。具体的な方策は以下の通りである。 ① について、昨年度の研究成果から、フルオレセイン型色素誘導体が最も有望であることがわかっている。そこで、HOMO-LUMOの分子軌道エネルギーのチューニング、またはπ共役系の拡張による、NIR-II 色素の継続的開発を行う。また同時に、色素に適切な置換基を導入することで熱力学的な安定化も試みる。 ②について、構造修飾箇所が多い架橋フルオレセイン色素誘導体、および、無極性選択蛍光を示す架橋ロドール色素誘導体について、蛍光プローブ化を志向した研究を行う。具体的な検出刺激としては、イオン、酸化還元剤、極性環境などを対象とする。
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