研究課題/領域番号 |
22K15269
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
古賀 鈴依子 福岡大学, 薬学部, 助教 (20804545)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | キラルアミノ酸 / 光学分割 / 分析化学 / エキシマー蛍光 / 多次元HPLC / 蛍光誘導体化 / 多次元HPLC分析 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症は早期治療により大幅な症状の改善が見込まれる一方、バイオマーカーの欠如によりその診断は困難な場合も多い。近年、統合失調症へのD-アミノ酸酸化酵素(DAO)およびD-アスパラギン酸酸化酵素(DDO)の関与が報告され、酵素活性の評価による客観的診断指標の開発が期待されている。本研究では、エキシマー蛍光誘導体化を用いてキラルアミノ酸の高選択的HPLC分析法を構築し、疾患モデル動物およびヒト臨床検体を用いた尿中・血中含量解析を通じて統合失調症の診断指標の探索を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では統合失調症の早期かつ客観的診断を可能とする指標の探索を行う。2022年度にオルニチンを対象としてエキシマー蛍光誘導体化条件の検討および多次元HPLCを用いる分析法の構築を行ったことを受け、2023年度は構築した分析法を用いて生体試料の分析を行ったほか、新たにヒスチジンを対象とした分析法の構築を試みた。 ヒトおよび正常なD-アミノ酸酸化酵素(DAO)活性を有するコントロールマウス、DAO欠損マウス尿試料中のオルニチン鏡像異性体を分析した結果、いずれの試料においても他の内在性化合物の影響を受けることなくオルニチン鏡像異性体の定量が可能であり、DAO欠損に伴う%D値の有意な増加が認められた。 ヒスチジンを対象とした分析法の構築については、オルニチンと同様にエキシマー蛍光誘導体化に用いるピレン試薬としてアミノ基を対象とした蛍光誘導体化試薬である4-(1-Pyrene)butyric acid N-hydroxysuccinimide(PSE) を選定した。一次元目の逆相分離に微粒子充填型カラムを用い、二次元目の光学分割については複数のパークル型キラル固定相を用いてPSE誘導体化ヒスチジンの分離検討を行うことにより良好な光学分割を達成した。ピレン誘導体化ヒスチジンをエキシマー蛍光波長(励起波長345 nmにおける475 nmの蛍光発光)で検出することにより、生体試料において他の内在性化合物の影響を受けることなくヒスチジン鏡像異性体のピーク検出が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は分析対象を他のアミノ酸・ペプチドへと拡充し、生体試料分析に向けた分析法の最適化およびバリデーションデータの取得を行うとともに、DAO・DDO活性評価による統合失調症の客観的診断指標の開発へ繋げるため、様々なDAO、DDO活性を有するマウス試料を分析する計画であった。 DDOの基質となる酸性アミノ酸を対象とする分析法の構築にやや遅れが生じているが、これまでにオルニチン鏡像異性体を対象として生体試料分析を行い、DAOの活性変化に伴う有意な含量変化を明らかにしたほか、新たにヒスチジン鏡像異性体を対象とする分析法の構築を達成しているため、本研究課題の進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は分析対象をDDOの基質である酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)へと拡充して生体試料分析を可能とする分析法を構築し、様々なDDO活性を有するマウス試料を分析する。また、引き続き既に構築した分析法を用いて尿中・血中キラルアミノ酸含量解析を行うことにより鋭敏なDAO・DDO活性評価指標を探索し、DAO・DDO活性評価による統合失調症の客観的診断指標の開発へ繋げる。
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