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生体外化学物質による老化毒性ががん悪性転化に及ぼす影響解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K15275
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

芳賀 優弥  大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (30888863)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードがん悪性転化 / 細胞老化 / 生体外化学物質 / 衛生薬学
研究開始時の研究の概要

生体異物(生体外化学物質)の発がん性は、多段階発がん説(①Initiation→②Promotion→③Progression→④Malignant change[悪性転化])に基づき、① ~③の過程毎に分子機序解析されている。一方で④の「悪性転化」については、がんの浸潤や転移、薬剤耐性等の獲得に直結するにも関わらず、この過程に着目した毒性試験は皆無に等しい。以上から本申請では、老化毒性の視点から、がんの悪性転化への生体外化学物質の影響を先駆けて解析するものである。本研究は、化学物質の 安全性評価(特殊毒性評価)の観点で、新たに「がん悪性転化試験」の 1 つを提案するものである。

研究実績の概要

生体外化学物質は、主に発がん過程(①Initiation→②Promotion→③Progression→④Malignant change[がん悪性転化])の中でも初期に着目したものがほとんどである。一方、がん患者の死亡原因のほとんどは、転移や薬剤耐性などのがん悪性転化過程に集中している。本研究では、生体外化学物質のがん悪性転化に与える影響について、「細胞老化」の観点から解析し、将来的な生体外化学物質(微粒子を含む)の「老化毒性」とも呼ぶべき、細胞形質の変化の概念の確立を目指す。当該年度は、昨年度見出したベンゾピレンによる細胞老化誘導機序について更なる解析を試みた。まず、老化細胞の分泌物であるSASP(細胞老化関連分泌形質; senescence-associated secretory phenotype)について、網羅的なタンパク質変動解析を実施し、ベンゾピレン誘導性の老化細胞にて顕著に分泌が亢進する複数の分子を同定した。さらに、ベンゾピレン誘導性の老化細胞から抽出したRNAを用いて網羅的な遺伝子変動解析を実施したところ、がん悪性転化に関わる遺伝子の変動を認め、臨床データベースとの相関も認められた。今後は、当該年度に樹立したベンゾピレンなど多くの低分子有機化合物をリガンドとするAhRのノックアウト細胞株を活用し、詳細な機序解明を図ると共に異なるモデル化学物質による検討についても研究を推進する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度にモデル化学物質として用いているベンゾピレン(BP)を対象として、乳がん細胞MCF7に細胞老化を誘導すること、その細胞老化が可逆的であることを見出してきた。そこで、当該年度は、上清中のプロテオーム解析を実施することでSASPの変動について評価するとともに、細胞から抽出したRNAを用いた網羅的遺伝子変動解析を実施した。その結果、上清中タンパク質の中でもベンゾピレン特異的に誘導されるタンパク質の存在を認めた。さらに、網羅的遺伝子変動解析の結果より、ベンゾピレン曝露群において変動遺伝子が多数認められた。中でも、発現減少していた遺伝子にはPHGDHやASS1が含まれ、これらは乳がん患者のデータベースにおいて、腫瘍の悪性度に伴って減少する遺伝子であったことから、BP曝露による細胞老化に誘導のみならず、がん悪性転化が示唆された。さらに、BPによる細胞老化における受容体の関与を追求すべく、BPを始めとする多くの低分子有機化合物をリガンドとするAhRのノックアウト細胞株を樹立し、次年度の研究実施に備えた。上記のように研究計画に沿って概ね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

AhRノックアウト細胞を用いて、BPの細胞老化誘導性におけるその受容体の関与を明らかとする。また、BPのみならず他の化学物質についても同様に細胞老化誘導性、上清のプロテオーム解析を実施することで、SASPに構成因子について、化学物質ごとのプロファイルを行う。さらに、in vivoでの検討を実施し、実際に細胞老化が転移性などのがん悪性転化表現系に寄与しているのかについて評価する。さらに、将来的な老化毒性の予防法の確立に向け、ABT263などの老化細胞除去薬によるがん悪性転化予防法の確立をin vitro, in vivoで検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Coculture with macrophages alters ferroptosis susceptibility of triple-negative cancer cells2024

    • 著者名/発表者名
      Konishi Hiroto、Haga Yuya、Okumura Moe、Tsujino Hirofumi、Higashisaka Kazuma、Tsutsumi Yasuo
    • 雑誌名

      Cell Death Discovery

      巻: 10 号: 1 ページ: 108-108

    • DOI

      10.1038/s41420-024-01884-w

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Investigation of the mechanisms of benzopyrene-induced cellular senescence in breast cancer.2023

    • 著者名/発表者名
      Kitamoto N., Haga Y., Tsujii Y., Tsujino H., Higashisaka K., Tsutsumi Y.
    • 学会等名
      The 10th International Congress of Asian Society of Toxicology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ベンゾピレン誘導性細胞老化ががん悪性転化へ及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      北本夏子, 芳賀優弥, 辻井勇気, 辻野博文, 東阪和馬, 堤 康央
    • 学会等名
      第50回日本毒性学会学術年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 細胞形態学的特徴と薬剤感受性の相関解析2023

    • 著者名/発表者名
      芳賀優弥, 堤 康央
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ベンゾピレン誘導性細胞老化の分子機序解明およびがん悪性転化への影響解析2023

    • 著者名/発表者名
      北本夏子, 芳賀優弥, 辻井勇気, 東阪和馬, 堤 康央
    • 学会等名
      第73回日本薬学会関西支部総会・大会.
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 乳がんの悪性転化におけるベンゾピレン誘導性細胞老化の分子機序解明2023

    • 著者名/発表者名
      北本夏子, 芳賀優弥, 辻井勇気, 辻野博文, 東阪和馬, 堤 康央
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] The effect of benzopyrene-mediated cellular senescence on malignant change of breast cancer2022

    • 著者名/発表者名
      Kitamoto N., Haga Y., Tsujii Y., Higashisaka K., Tsujino H., Tsutsumi Y.
    • 学会等名
      EACR 2022 Congress
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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