研究課題/領域番号 |
22K15280
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 瑠理子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (20908785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マスト細胞 / アクチン / Fc受容体 / 単価ハプテン / 細胞骨格 / アレルギー / ハプテン / IgG |
研究開始時の研究の概要 |
マスト細胞は花粉症や気管支喘息などといったI型アレルギーの中心となる細胞である。これまでに申請者は、単価ハプテンにより、マスト細胞活性化に重要なアレルゲンによるIgE受容体の架橋を阻害することで主にアレルギーの即時相の反応を、またアレルゲン特異的IgGの添加により抑制性のIgG受容体を活性化させることで後期相の反応を顕著に抑制することを発見した。そこで本研究では、これらの詳細な抑制機構を解析するとともに抗体加工技術を用い、これらの作用を同時に働かせることによる新たな作用機序をもつアレルギー治療薬へと発展させる。
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研究実績の概要 |
本申請は活性化マスト細胞の単価ハプテンによる抑制効果とIgGによる抑制効果の相乗効果を期待したIgG抗体の作製を目指すものである。そのために、未解明な点の多い単価ハプテンによるマスト細胞活性化抑制メカニズムを明らかにすることを目的として次の実験を行った。 (1)単価ハプテンによるCa2+濃度上昇抑制機構を明らかにするため、単価ハプテンが細胞膜に発現するNCXやPMCAといったCa2+排出ポンプに与える影響について検討した。PMCAの阻害剤であるcarboxyeosin、NCXの阻害剤のKB-R7943で処理し、これらの阻害剤による影響を受けないCaプローブのIndo-1で標識したRBL細胞を用いて、単価ハプテンによる影響を検討したところ、単価ハプテンはこれらのCa2+排出ポンプには影響を及ぼさないことが明らかとなった。 (2)単価ハプテンの添加により急激に細胞内Ca2+濃度の上昇が抑制されるため、アクチン脱重合に関与するcofilinの活性を制御するLIMKやslingshotの細胞内Ca2+濃度依存性を検討した。多価抗原刺激後、各時点において細胞外液中のCa2+濃度を0 mMとした際の各タンパク質の活性化への影響を検討したところ、slingshotは細胞内Ca2+濃度非依存的であったのに対し、LIMKは迅速にリン酸化(活性化)された。さらに、共免疫沈降法によりLIMKとcofilinの相互作用レベルについて検討したところ、LIMKとcofilinの相互作用は多価抗原刺激前後では変化しないのに対し、単価ハプテンでは有意に相互作用レベルが減少することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多価抗原刺激によるアクチンを制御するシグナル機構の解明と単価ハプテンがそこへ与える影響が明らかになりつつある一方で、本申請の最終目的である抗IgE単価IgG抗体作製のための予備実験として、還元型の抗IgE IgG抗体の作製とそのマスト細胞活性化抑制効果の検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、単価ハプテンは細胞内Ca2+ストアからのCa2+の遊離には影響を及ぼすが、Ca2+排出ポンプには影響を及ぼさないことが明らかとなった。そのため、次はSTIM-Oraiの相互作用に影響を及ぼすかについて共免疫沈降法を用いて検討を行う。 また、抗IgE IgG抗体の還元処理では抗IgE IgG抗体自身によるマスト細胞の活性化を完全に除去することが難しいため、まず抗原特異的IgG抗体を還元し、抑制効果を検討する。抑制効果が確認できた場合はIgG抗体の作製を目指す。
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