研究課題/領域番号 |
22K15283
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
落合 翔 昭和大学, 薬学部, 助教 (20943559)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | プロスタサイクリン / プロスタグランジン最終合成酵素 / リポ多糖 / 敗血症 / セレキシパグ / マクロファージ / プロスタグランジン / 脂質解析 / 炎症反応 |
研究開始時の研究の概要 |
プロスタサイクリン(PGI2)合成酵素(PGIS)は、アラキドン酸代謝物である生理活性脂質PGI2を生合成する酵素である。PGISは心血管系の細胞に高発現し、心循環器系の恒常性維持において重要な役割を果たすことが知られているが、マクロファージ(MΦ)などの血管系以外の細胞にも発現が認められる。このMΦに発現するPGISの生体内での機能についてはほとんど明らかとなっておらず、その生体内機能を解明することを目的とする。新たな抗炎症薬の標的分子の探索を目指し、様々な活性化ステージのMΦに発現するPGISの炎症反応における機能解析を行う。
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研究成果の概要 |
敗血症におけるPGI合成酵素 (PGIS) の機能について解析するため、PGIS遺伝子欠損 (KO) マウスを用いてLPS誘導敗血症モデルを作成した。PGIS KOマウスでは野生型 (WT) マウスと比較し、下痢などのLPSによる全身症状が増悪し、生存率も有意に低下していた。定量的PCRにて腹腔細胞中の炎症性サイトカインの遺伝子発現量を解析した結果、PGISの欠損によりTNF-aやIL-6の有意な増加がみられた。PGIS KOマウスにPGI2受容体 (IP) 選択的刺激薬であるselexipagの投与を行ったところ、LPSによる症状は大幅に緩和され致死率にも改善がみられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで当研究室では、PGI合成酵素 (PGIS) により産生されるPGI2が炎症反応の促進に関与することを報告してきた。本研究により、これまでの報告と異なり、PGISの炎症反応における抑制的な役割を見出すことに成功した。本研究で疾患モデルとした敗血症は、感染症に対する全身反応により致命的な臓器障害が引き起こされる病態である。敗血症の死亡率は、過去20年間で抗生物質や多臓器支持療法などにより徐々に減少したが、現在でも世界における死亡率の約20%を占めるとみられており、治療薬の開発が求められている。本研究により、PGI2受容体選択的刺激薬が、敗血症に対する創薬ターゲットとなりえる事が確認された。
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