研究課題/領域番号 |
22K15292
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
相澤 風花 徳島大学, 病院, 特任助教 (80848367)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 抗がん剤誘発性末梢神経障害 / オキサリプラチン / パクリタキセル / データベース解析 / AI創薬 / 疼痛 / 感覚異常 / 医療ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
臨床上使用されている抗がん剤誘発性末梢神経障害の対症療法薬は痛みの上行性伝達路を抑制するものが主体となっているが、先行研究において、モデルマウスを用いた検討から、オキサリプラチンによる末梢神経障害は、痛みの上行性伝達路以外の機序によって末梢神経障害を抑制できる可能性の一端を見出した。本研究では、その他抗がん剤による末梢神経障害に対する検討を加え、標的遺伝子の網羅的探索を行い病態責任因子を特定することで、新規抗がん剤誘発性末梢神経障害治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、データベース解析によって抗がん剤誘発性末梢神経障害(CIPN)の抑制候補薬と予測したHMG-CoA還元酵素阻害剤(HRI)の安全性および有効性について明らかにすることを目的とし、1) HRIsはどの抗悪性腫瘍薬による末梢神経障害にも有効であるか、2)HRIsの併用が抗悪性腫瘍薬による抗腫瘍作用に影響を及ぼすか、の2点について検討を行い、作用機序解明に向けた予備的検討を実施した。 結果、1) 医療データベースに集積された約12,000人の対象症例について解析し、オキサリプラチンまたはパクリタキセル投与時のHRIs併用は、投与後の末梢神経障害の発現を増悪させないことが示唆された。また、各抗悪性腫瘍剤による治療継続期間はHRIsの併用に寄らず同程度であった。2) オキサリプラチンおよびパクリタキセルをヒトがん細胞株(胃・大腸・肺・卵巣がん)に処理した際に認められる細胞死は、HRIs(シンバスタチン・アトルバスタチン・ロスバスタチン)のいずれかと共処理しても抑制されなかった。 加えて、Artificial IntelligenceによるPathyway解析を行い、HRIsが作用する複数の標的因子を予測した。今後、標的因子の発現分布解析およびHRIsによる直接的な影響を検討を開始するための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医療データベースを活用することで、臨床応用へ向けた有効性予測を実施し、ヒトにおける有害性が低いという知見が得られつつある。加えて、新たな手法としてArtificial Intelligenceによる標的予測を行ったことにより、HRIsの新規薬理学的標的同定に向けて進展が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、各抗悪性腫瘍薬を用いて末梢神経障害モデルマウスを作製し、HRIs作用組織・因子の同定の同定を進めるとともに、これまで実施した検討(データベースおよびPathway解析)について詳細な解析を実施する。 具体的には、現在までに、オキサリプラチンおよびパクリタキセルによる末梢神経障害モデルマウスの確立が完了しており、パクリタキセル誘発モデルマウスに対するHRIsの有効性について行動薬理学的解析を進めている。また、HRIsの作用部位の一つとしてdorsal root gangliaに着目し、前述のモデルマウスから採取した組織を用いて、神経細胞および非神経細胞における標的因子の局在解析を進めている。 データベース解析では、前年度に引き続きその他抗悪性腫瘍薬に対するHRIsの安全性・有効性の予測を行い、HRIsの作用標的は抗悪性腫瘍薬の種類に依存的であるかどうか検討を実施する予定である。
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