研究課題/領域番号 |
22K15294
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
濱野 裕章 岡山大学, 大学病院, 講師 (10847289)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 心筋炎 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 免疫関連有害事象 / ノックアウトマウス |
研究開始時の研究の概要 |
ICI関連心筋炎は致死率が高く、予防薬・治療薬の開発が急務である。新規薬剤の開発には動物モデルが必須であるが、既存のモデルであるPD-1-KO-N10は短命かつ自然発症モデルのため解析可能な時期が非常に短く、新規薬剤の開発に用いることは困難であった。これに対して、心筋炎の発症率は低いが長期生存が可能な類似モデルであるPD-1-KO-N12に心筋炎誘発剤を用いることで、長命かつ適切なタイミングで心筋炎を発症するモデルを作成することができると考えられる。本研究では、PD-1-KO-N12に対して心筋炎誘発剤を用いることで、簡便かつ確実に心筋炎を発症するICI関連心筋炎の実験的発症モデルを作成する。
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研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤 (Immune Checkpoint Inhibitor: ICI) によって誘発される心筋炎は致死率が非常に高く、予防薬・治療薬の開発が急務である。新規薬剤の開発には動物モデルが必須であるが、既存のICI関連心筋炎のモデルであるprogrammed cell death 1(PD-1)-KO-N10は短命かつ自然発症モデルのため解析可能な時期が非常に短く、新規薬剤の開発に用いることは困難であった。これに対して、心筋炎の発症率は低いが長期生存が可能な類似モデルであるPD-1-KO-N12に心筋炎誘発剤を用いることで、長命かつ適切なタイミングで心筋炎を発症するモデルを作成することができると考えられる。 PD-1-KO-N12[BALB/c]に対して心筋誘発剤ミオシンおよび百日咳毒素を投与した。投与後21日目に解剖を行い、心筋炎が誘導されているか評価を行った。評価には、心筋の組織染色、炎症性・線維化・心筋炎起因遺伝子の解析を実施した。 ミオシン投与を行ったPD-1KOマウスでは、投与していないノックアウトマウス、Wildタイプのマウス、wildタイプにミオシンを投与したマウスいずれに比べても、HE染色の結果から心筋組織内への細胞浸潤が見られた。くわえて、IL-6、IL-1b、TNFαといったサイトカインの遺伝子レベルにおける増加がみられたことから、炎症が生じていることが示唆された。他に線維化・心筋関連マーカーの増加も見られた。 簡便かつ確実に心筋炎を発症するICI関連心筋炎の実験的発症モデルを作成に成功した。今後は本モデルに用いたペプチド以外のペプチドを用いて、ICI誘発心筋炎患者に類似性の高い新規モデルの構築を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PD-1-KO-N12[BALB/c]に対して心筋誘発剤ミオシンおよび百日咳毒素を投与した。投与後21日目に解剖を行い、心筋炎が誘導されているか評価を行った。評価には、心筋の組織染色、炎症性・線維化・心筋炎起因遺伝子の解析を実施した。 ミオシン投与を行ったPD-1KOマウスでは、投与していないノックアウトマウス、Wildタイプのマウス、wildタイプにミオシンを投与したマウスいずれに比べても、HE染色の結果から心筋組織内への細胞浸潤が見られた。くわえて、IL-6、IL-1b、TNFαといったサイトカインの遺伝子レベルにおける増加がみられたことから、炎症が生じていることが示唆された。他に線維化・心筋関連マーカーの増加も見られた。 簡便かつ確実に心筋炎を発症するICI関連心筋炎の実験的発症モデルを作成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ミオシン以外の心筋炎の発症するペプチドの合成に成功している。 本ペプチドは、ICI治療患者において自己抗体が産生することが知られており、ミオシンよりもヒトにおけるICI誘導心筋炎と類似性の高いモデルとなることが想定される。 少量のペプチドを投与したところ、PD-1-KO-N12[BALB/c]に対して三匹中二匹において心筋炎が誘導されることを確認している。 今後はペプチド合成のスケールアップの検討を行い、作製したモデルにおける心筋炎の発症率を確認し、炎症性サイトカインやT細胞のポピュレーション、およびヒトとの類似性についても調べる。
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