研究課題/領域番号 |
22K15296
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
尾山 実砂 北里大学, 薬学部, 助教 (20804503)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 痒み / 痛み / ガバペンチノイド / pregabalin / mirogabalin / 下行性抑制系 / 掻痒 / 電気生理学 / 行動薬理学 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性掻痒の多くは既存薬に抵抗性を示す難治性の疾患である。近年、脊髄後角においてガストリン放出ペプチド(gastrin-releasing peptide; GRP)とその受容体(GRPR)が痒みを特異的に伝達することが報告され、痛みと同様に痒みの慢性化には神経の可塑的変化が重要であることから、中枢神経を標的とした鎮痛薬が鎮痒作用も併せ持つ可能性がある。本研究課題では、神経障害性疼痛治療薬の電位依存性Ca2+チャネルα2δサブユニットリガンドであるガバペンチノイドの、様々な掻痒モデル動物に対する効果とGRPが誘発する脊髄後角神経での痒み特異的活動電位発火応答を指標に鎮痒作用機序解明を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、神経障害性疼痛の第一選択薬として使われるガバペンチノイドの抗掻痒効果を、行動実験により網羅的に検証した。先行研究にて、マウスの吻側背部に起痒物質を投与して引っ掻き行動を誘発する急性掻痒neckモデルに対して、腹腔内投与したpregabalinやmirogabalinはヒスタミン依存性のcompound 48/80誘発性急性掻痒は抑制せずにヒスタミン非依存性のchloroquine誘発性急性掻痒を抑制することを明らかにしていた。そこで、起痒物質としてchloroquineを用いてさらに検討を行なった。脳室内または脊髄髄腔内投与したpregabalinやmirogabalinは鎮痒効果を示し、特に脊髄髄腔内投与時に強い抑制作用が確認された。また、ふくらはぎ正面に起痒物質を投与してbitingやlicking行動を誘発する急性掻痒calfモデルを用いて検討を重ねた。すると、腹腔内・脳室内・脊髄髄腔内投与したmirogabalin、および脊髄髄腔内投与したpregabalinは有意な抗掻痒効果を示した。また、脊髄髄腔内にアドレナリンα1受容体遮断薬のprazosinとα2受容体遮断薬のyohimbineを前投与してからmirogabalinを脳室内投与すると、biting時間が延長する傾向が得られたことから、mirogabalinの鎮痒効果にはノルアドレナリン性下行性抑制系の活性化が関与することが示唆された。さらに、1-fluoro-2,4-dinitrobenzene (DNFB)の吻側背部への繰り返し塗布によりⅣ型アレルギー反応を誘発する慢性掻痒モデルを用いて検討した。病態が完成した後に治療的に単回腹腔内投与した場合、および病態を作製していく過程で連日腹腔内投与した場合、両条件においてpregabalinとmirogabalinは有意に引っ掻き回数を抑制した。
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