研究課題/領域番号 |
22K15299
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
田和 正志 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (10510274)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 可溶性グアニル酸シクラーゼ / 一酸化窒素 / 血管石灰化 / 慢性腎臓病 / ビタミンD / 酸化還元状態 |
研究開始時の研究の概要 |
血管石灰化は心血管疾患の発症・進展に深く関わる重要な病態であるが、今なお不明な点が多く、有効な治療法は確立されていない。石灰化を起こした血管は一酸化窒素の生物学的利用能低下を伴うことが知られており、この利用能を規定する要因の一つとして可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)ヘム鉄の酸化還元状態がある。本研究では、石灰化を起こした血管における sGC ヘム鉄の酸化還元状態を明らかにし、新たな治療法の開発へとつなげることを目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度は血管石灰化を引き起こすことが知られている慢性腎臓病(CKD)のモデル動物を用いて検討した。CKDはアデニンを0.25%混合した飼料をラットに自由摂取させることにより誘発し、アデニンを含まない標準飼料を摂取させたラットと比較した。対照ラットと比較して、アデニン摂取開始14日後のラットの血漿クレアチニン濃度は高値を示し、腎体重比も顕著に増加した。このラットから摘出した腹部大動脈における一酸化窒素(NO)供与薬(還元型可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を刺激)の弛緩反応は対照ラットの腹部大動脈における反応と変わらなかった。また、sGC活性化薬(酸化型/アポsGCを刺激)の反応性もアデニン摂取ラットと対照ラットの腹部大動脈間で差はなかった。コッサ染色により石灰化の有無を確認したが、この時点ではアデニン摂取ラットの腹部大動脈に石灰化は生じていなかった。次に、さらなる遠隔期において検証するため、アデニン摂取開始28日後のラットについて上記と同じ項目を評価した。その結果、血漿クレアチニン濃度および腎体重比の値は14日後より高く、CKDは進行していた。しかし、NO供与薬やsGC活性化薬による腹部大動脈の弛緩反応はアデニン摂取ラットと対照ラット間で差がなかった。なお、この時点においても血管石灰化は認められなかった。以上の結果から、今回用いたアデニン摂取ラットはCKDを発症していたものの、腹部大動脈の血管石灰化は伴わなかった。したがって、sGCヘム鉄酸化還元状態がCKD依存的な血管石灰化を起こした血管においてどのように変化するのかについてはさらなる研究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた研究を遂行できたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果から、石灰化を起こした血管ではsGCヘム鉄酸化還元状態が変化することが考えられる。令和6年(2024)度の研究では、NO/sGC経路の活性化が血管石灰化の進展を抑制するか否かを検討する。
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