研究課題/領域番号 |
22K15311
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 紀宏 東北大学, 大学病院, 助教 (50770723)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腎薬物トランスポーター / OATP4C1 / 肝障害 / 薬物-生体内物質相互作用 / 薬物副作用回避 / 相互作用バイオマーカー / メタボローム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
臨床現場では、肝機能や腎機能、その他の患者の状態を勘案したうえで投与設計しても、薬物血中濃度上昇による副作用を経験する患者がいる。本研究では、肝障害時における腎排泄型薬物の真の適正使用を目指し、新規投与設計方法構築に向けたエビデンス蓄積を目的として、以下の研究を展開する。まず、①肝疾患時にヒト血中に蓄積する種々の代謝物をメタボローム解析により網羅的に解析し、次に、②見いだされた代謝物と腎臓の薬物トランスポーターの相互作用解析を徹底的に行う。研究成果は、予期せぬ薬物血中濃度上昇や副作用発現を説明する有用な情報(新規バイオマーカー)となることを確信している。
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研究実績の概要 |
本研究では、肝障害時における腎排泄型薬物の真の適正使用を目指し、新規投与設計方法構築に向けたエビデンス蓄積を目的として、以下の研究を行っている。まず、①肝疾患時にヒト血中に蓄積する種々の代謝物をメタボローム解析により網羅的に解析し、次に、②見いだされた代謝物と腎臓の薬物トランスポーターの相互作用解析を徹底的に行う。 本研究は研究計画に則り、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会が承認済の研究計画(受付番号2020-1-732)で収集した肝疾患患者の血液を使用して、血中代謝物を対象としたメタボローム解析を開始した。メタボローム解析の予備検討として、代謝物標品を用いて精密質量分析計における各種分析条件を検討し、同定と半定量が可能な条件を得た。これまでに収集した血液検体を用いた本検討では、変動する代謝物由来の特徴的なピークを選定した。HMDBやMassbank 等でデータを照合し、候補化合物の推定を行った。いくつかの未知代謝物の同定が課題となっているが、最終的に推定化合物の標品を用い、Exact massとともに化合物を同定する計画である。 また、既報より肝疾患に関与していることが報告されている化合物の情報を収集し、肝疾患患者の血中濃度が上昇している可能性のある代謝物については、腎薬物トランスポーター(OATP4C1を中心)との相互作用解析を開始した。実際に、一部の代謝物について、OATP4C1との相互作用解析を行ったところ、その輸送を変化させることが明らかとなった。今後、トランスポーターの輸送変化が直接的な相互作用に基づくか、発現制御に基づくかを明らかにすべく検討を継続する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、研究計画に則って、肝疾患患者の血中代謝物を対象としてメタボローム解析を行った。また、見いだした代謝物等について、腎薬物トランスポーター(OATP4C1を中心)との相互作用解析を行ってきた。一部の代謝物はOATP4C1の輸送を変化させることが明らかとなった。今後、トランスポーターの輸送変化が直接的な相互作用に基づくか、発現制御に基づくかを明らかにすべく検討を継続する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
肝疾患を有する患者で見出された代謝物について、モデル動物の血液サンプル等の解析を合わせて検証していく。また、研究室で保有するOAT1、OAT3等の重要な薬物トランスポーターについても評価を進めることで包括的に腎薬物トランスポーターと生体内代謝物の相互作用を調べていく。すべての実験を行うための機器や材料は揃っているため、本研究計画に則って適切に進めていく。
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