研究課題/領域番号 |
22K15312
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
臼井 拓也 東北大学, 大学病院, 薬剤師 (50835296)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Acute kidney injury / 急性腎障害 / バイオマーカー / AKI / エクソソーム / 尿中マーカー |
研究開始時の研究の概要 |
急性腎障害 (acute kidney injury;AKI) 患者では、浮腫、食欲低下、全身倦怠感などを呈し、QOLが著しく低下する。加えて透析や救急医療を必要とする場合もあり、AKI早期診断技術の開発が求められている。本研究の目的は「尿エクソソーム中トランスポータータンパク質の定量が、AKIの早期診断に有効であることの実証」である。腎障害時の尿エクソソーム中トランスポータータンパク質量の変動は2012年に示唆されたが、既報では測定の網羅性および特異性が不足していた。本研究では網羅性および特異性に優れるプロテオミクスにより研究目的の達成を目指す。
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研究実績の概要 |
急性腎障害 (acute kidney injury; AKI) は心臓手術に代表されるような虚血手術や、腎毒性薬物の投与を起点として生じることが多い。そこで、AKI早期診断のためにはこれらの起点から数時間以内に採取された患者検体を用いた解析が必要と考え、前向き観察研究を新規に実施する方針とした。AKI発症リスクの高い抗がん薬に着目し、当該抗がん薬の使用頻度の高い診療科医師3名との研究協力体制を構築し、2022年10月から対象患者のリクルートを開始している。 2023年度の実施状況は 下記の通りである。 1.当該抗がん薬を用いた治療を受ける患者40名以上から研究参加同意を取得した。当該抗がん薬での治療において、各患者からはそれぞれ複数回、 尿検体を提供いただく了承を得ている。同意取得患者のうち、AKIを発症した患者が複数名いた。 2.AKI早期診断バイオマーカーの候補分子数種類について、尿検体からの定量体制を構築した。当該抗がん薬投与後、複数のタイムポイントにて採取した尿検体において、候補分子の定量を進めている。 上記解析と並行し、抗がん薬投与患者のAKI発症およびその診断に関する後ろ向き調査を実施し、AKI診断における現状の課題を明らかにした。成果を第17回日本腎臓病薬物療法学会にて発表した。 また、臨床現場において、薬物相互作用はAKIを含む予期せぬ副作用の要因となることが知られる。そこで、薬剤師による薬物相互作用マネジメントの実態を調査し、副作用リスクの高い併用禁忌処方に対する薬剤師の確認体制の課題を明らかにした。成果を第77回医薬品相互作用研究会シンポジウムで発表 (招待講演) するとともに、学術誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2024年度の実施を予定していたヒト尿検体を用いた解析について、医師の協力および複数の患者からの研究参加同意を得られたことで、既に40名を超える患者検体を入手できている。AKI発症リスクの高い抗がん薬の投与後、1患者あたり最大6時点での尿検体を入手できていることから、各バイオマーカー候補分子について経時的な評価が可能である。さらにバイオマーカー候補分子複数種について、精度の高い定量系を確立できている。
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今後の研究の推進方策 |
当該抗がん薬の治療を受ける患者について引き続きリクルートを継続し、予定症例数の達成を目指す。患者尿検体中のバイオマーカー候補分子および尿エクソソーム中トランスポータータンパク質を定量し、受信者動作特性解析からAKI早期診断に有用なバイオマーカー分子を同定する。
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