研究課題/領域番号 |
22K15316
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤田 有美 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (50876026)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | タクロリムス / CD4/CD8 T細胞比 / 妊娠期薬物治療 / 子宮内薬物曝露 / ワクチン応答能 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫抑制剤であるタクロリムスの妊婦使用禁忌は、タクロリムスが催奇形性発症率に影響を与えないという報告により、2018年に解除となった。一方、タクロリムスによる催奇形性以外の新生児毒性、特に免疫への影響や感染症発症予防のためのワクチン接種が子宮内タクロリムス曝露新生児に与える影響については全く検討されていない。そこで、本研究では、子宮内タクロリムス曝露モデルマウスの作製を行い、子宮内タクロリムス曝露児の免疫能及びワクチンへの応答能力解明を目的とする。本研究は子宮内免疫抑制剤曝露児の新生児免疫応答能力を初めて明らかにし、さらに子宮内免疫抑制剤曝露児のワクチン接種適正化を目指すものである。
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研究実績の概要 |
2022年度では、子宮内タクロリムス暴露新生児モデルマウス(長期子宮内タクロリムス曝露モデル)を作製し、本モデルを用いて新生児のT細胞を解析したところ、低投与量群ではCD4/CD8 T細胞比が高く、高投与量群ではCD4/CD8 T細胞比が低く なり、母体への投与量によって新生児のCD4/CD8 T細胞比が異なる挙動を示した。母体のタクロリムス濃度と新生児のCD4/CD8比の相関を取ったところ、正の相関が得られた。これまでに、子宮内タクロリムス曝露期間による新生児免疫機能への影響については明らかとなっていない。そこで、得られた結果が長期的な曝露によるものであるかを明らかにするため、2023年度では、妊娠16.5日目メスマウスに臨床容量となるように高投与量と低投与量の2つのタクロリムス投与量を投与した短期子宮内タクロリムス曝露モデルマウスの作製を行った。短期子宮内タクロリムス曝露モデルマウにおいても長期子宮内タクロリムス曝露モデル同様、母体血中タクロリムス濃度が臨床 濃度域で定常に達しており、かつ母体のCD4陽性T細胞数がコントロール群に比べて有意に減少した。しかし、母体のタクロリムス濃度と新生児のCD4/CD8比の相関を取ったところ、負の相関が得られた。以上のことからタクロリムスの子宮内曝露期間によって新生児の免疫応答能力は異なる可能性が見出された。本助成期間内に新生児のワクチンへの応答能解析までには至らなかった。しかし、長期子宮内タクロリムス曝露モデル、ワクチン接種時の免疫応答を司るCD4細胞数は新生児においてタクロリムス非投与時と同程度あるいはそれ以上となった。以上より、短期的な投与ではなく妊娠前から長期的に臨床容量のタクロリムスを母体に投与した場合、新生児のワクチンへの応答能力は十分である可能性が高い。
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