研究課題/領域番号 |
22K15324
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
長嶺 歩 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (00882622)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ワルファリン / GGCX / ビタミンK / 凝固活性 / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
ワルファリン(WF)の薬効予測のために多くの研究が実施されてきたが、効果規定因子の約40%は不明のままである。過去の研究ではPT-INRを用いて効果規定因子を探索しているため、未解明の個人差の要因がビタミンKサイクルから血液凝固のどの過程にあるのかが不明である。WFはGGCXの活性低下を介して薬効を示すため、本研究ではビタミンKサイクル内の各因子によりGGCX活性を規定できるか、およびGGCX活性により凝固活性を規定できるかを分けて評価することで未解明の効果規定因子がどの過程にあるかを明らかにする。さらに個人差の過程に関連するタンパク質のプロテオミクスにより新規WF効果規定因子の検出を試みる。
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研究実績の概要 |
ワルファリン(WF)の薬効予測のために多くの研究が実施されてきたが、効果規定因子の約40%は不明のままである。過去の研究ではPT-INRを用いて効果規定因子を探索しているため、未解明の個人差の要因がビタミンK(VK)サイクルから血液凝固のどの過程にあるのかが不明である。WFはγ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)の活性低下を介して薬効を示すため、本研究ではVKサイクル内の各因子によりGGCX活性を規定できるか、およびGGCX活性により凝固活性を規定できるかを分けて評価することで未解明の効果規定因子がどの過程にあるかを明らかにする。さらに個人差の過程に関連するタンパク質のプロテオミクスにより新規WF効果規定因子の検出を試みる。当該年度では「VKサイクル内の各因子によりGGCX活性を規定できるか」についての以下を実施した。 1)VKサイクル内の因子とGGCX活性との相関の検討 既知WF効果規定因子であるCYP2C9、CYP2C19、CYP4F2、VKORC1、GGCXの遺伝子変異をTaqman-Probe法を用いて解析した。また、ビタミンK(phylloquinone、menaquinone-4)およびWFの前処理方法の検討を実施し、高速液体クロマトグラフ―質量分析(LC-MS)法およびLC-UV法による測定系を確立した。さらに、GGCX活性を評価するため、VK依存性タンパク質(VKDP)の血液凝固因子のうち、半減期が長く血中濃度の高いプロトロンビンの特異的なペプチド配列6種を合成し、LC-MS法による測定系を確立した。 2)GGCX活性とVK依存性タンパク質(VKDP)の凝固因子活性の相関の検討 VKDPの血液凝固因子(第Ⅱ、第Ⅶ、第Ⅸ及び第Ⅹ因子)の凝固活性をシスメックス社の全自動血液凝固測定装置CA-600を用いて測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に臨床研究を開始し、約100人の患者の同意を取得した。いただいた血液により下記検討を実施している。 1)ビタミンK(VK)サイクル内の因子とγ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)活性との相関の検討 既知WF効果規定因子であるCYP2C9、CYP2C19、CYP4F2、VKORC1、GGCXの遺伝子変異については解析済である。遺伝子変異の影響は過去の報告と矛盾しない結果となっている。血清中VKおよびワルファリン(WF)濃度については高速液体クロマトグラフ―質量分析(LC-MS)法およびLC-UV法による分析系を確立済であり、今後は患者検体の分析を行う。さらにGGCX活性の強さに応じて、VK依存性タンパク質(VKDP)の凝固因子は段階的にN末端領域からグルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸残基に変換(Gla化)されることが報告されている。そのため、GGCX活性を評価するため、プロトロンビンのGla化する部位を含む特異的なペプチド配列を6種類合成し、LC-MS法による分析系を確立した。今後は還元アルキル化トリプシン処理をした血液サンプルからの該当ペプチドの効率の良い検出方法について検討していく。 2)GGCX活性とVKDPの凝固因子活性の相関の検討 VKDPの血液凝固因子(第Ⅱ、第Ⅶ、第Ⅸ及び第Ⅹ因子)の凝固活性は既に分析済である。今後は上記に記載のGGCX活性評価手法を確立させ、凝固因子活性との相関を解析する。
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今後の研究の推進方策 |
血清中ビタミンK(VK)およびワルファリン(WF)濃度の分析系および前処理法は既に確立しているため、患者検体の分析を随時進めていく。さらにγ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)活性評価のために合成したペプチド配列6種類の高速液体クロマトグラフ―質量分析法による分析系は確立している。しかしながら血液検体を用いたプレ調査では前処理後の該当ペプチドのピーク強度のばらつきが大きいことと、感度不足で解析できない場合があるため、還元アルキル化・トリプシン処理の方法および脱塩・濃縮の方法、分析カラムの変更等を詳細に検討し、GGCX活性評価の手法を確立する。GGCX活性評価の手法が確立できたら、既知WF効果規定因子および各凝固因子活性とGGCX活性との相関を調査する。 また、VKサイクル外のWFの薬効に影響を与える因子の探索のため、血清プロテオミクスの手法の確立に着手していく。特に、血清中タンパク質の還元アルキル化・トリプシン処理および効率的な濃縮方法について検討をしていく。また、分析については質量分析装置TripleTOF 6600を用いたSWATH解析の実施を検討する。
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