研究課題/領域番号 |
22K15334
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菱沼 英史 東北大学, 未来型医療創成センター, 助教 (10824609)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | フッ化ピリミジン系抗がん剤 / ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ / ジヒドロピリミジナーゼ / ファーマコゲノミクス / 薬物代謝酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤の治療効果や副作用発現には著しい個人差が認められ、この薬剤反応性の個人差の一因として、抗がん剤の体内動態を制御する薬物代謝酵素やトランスポーター分子をコードする遺伝子多型が知られている。しかし、多くの抗がん剤において、有用な薬剤反応性予測マーカーの特定には至っていない。本研究ではフッ化ピリミジン系抗がん剤に着目し、その薬剤反応性予測マーカーの特定を目指す。具体的には抗がん剤投与患者の遺伝子解析を行い、治療反応性や副作用発現などの臨床情報との関連性を解析することで、有用な薬剤反応性予測マーカーを特定する。さらに、大規模遺伝子多型頻度情報を用いた、薬剤反応性予測パネルの構築も行う。
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研究実績の概要 |
フッ化ピリミジン系抗がん剤の副作用発現に関与する遺伝的因子には人種差が存在し、日本人集団におけるバイオマーカーは未だ特定されていない。本年度は、東北大学クリニカルバイオバンクに血液検体が保存されているがん患者でフッ化ピリミジン系抗がん剤による化学療法が適応の患者約300例について、対象検体の選択と血液精製DNA検体のバイオバンクからの出庫を行い、DPYDおよびDPYS遺伝子の解析を進めている。並行して副作用発現情報を中心に臨床情報の抽出と整備を進めている。また、東北大学東北メディカル・メガバンク機構が公開している約3,500人規模の一般住民バイオバンクの全ゲノム解析情報データベースより抽出された、新規アミノ酸置換を伴う41種のDPYDバリアントおよび12種のDPYSバリアントについてin vitro酵素機能解析を行い、その酵素機能変化の程度を評価した。その結果、9種類のDPYD遺伝子多型および9種類のDPYS遺伝子多型で酵素機能が低下または消失することが明らかとなった。また、アミノ酸置換が酵素の立体構造に及ぼす影響をBlue Native-PAGEにより解析し、DPDおよびDHPaseの酵素活性には多量体形成が重要であることを見出した。これらのバリアントは日本人における副作用予測マーカー候補であり、当該遺伝子多型を有する患者がフッ化ピリミジン系抗がん剤を投与された場合に、副作用発現のリスクが上昇する可能性があると推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度までで約300例のフッ化ピリミジン系抗がん剤投与患者のDPYDおよびDPYS遺伝子多型と副作用発現との関連解析を展開する計画であったが、2022年度は主として遺伝子多型解析と並行して、今後の関連解析に備え、副作用情報などの臨床情報の抽出整備を実施した。併せて、日本人全ゲノム解析データベースから抽出された新規遺伝子多型の酵素機能解析を進めて、酵素機能低下を引き起こすバリアントを特定した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度進めている約300例のフッ化ピリミジン系抗がん剤投与患者のDPYDおよびDPYS遺伝子解析を完了させ、副作用発現などの臨床情報との関連解析を引き続き進める。また、東北メディカル・メガバンク機構全ゲノム解析情報データベースは既に38,000人規模に拡大されており、複数の低頻度DPYDおよびDPYS遺伝子多型が同定されており、これらの中にマーカー候補となり得るバリアントが存在する可能性があるため、酵素機能解析も並行して進めていく。
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